名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


読書、映画、その他。


ぷにゃぷにゃ

最近日本語化されたらしいのでやっておきたい積みインディーADVゲーム10選

これまでのあらすじ: ティアキンって略すと、HIKAKIN、SEIKINに次ぐ第三の男(ナン)みたいですね。 下記はメモ代わりです。基本的にやったことはないのでゲーム内容の説明薄め。興味ある人は自分でググって。そういうわけなので翻訳の質もいちいち保証はし…

ゲームの夢、映画の魔――『IMMORTALITY』について

(本記事は本ブログに珍しく、あまりネタバレが含まれていない。ちょっとはあります) 君という光が私を見つける 真夜中に 宇多田ヒカル「光」 (本編より) 視覚芸術分野において「見ることと見られることについての作品」というフレーズで評することは若干…

引用のためらい、パロディのあわい――岡田索雲『ようきなやつら』について

(本記事は岡田索雲『ようきなやつら』のネタバレが含まれています。といいますか、すでに読んでいる読者向けに書かれていてネタバレすらすっとばしているところがあります。ご注意ください。) (ネタバレなしの紹介としては↓でV林田氏がこれ以上ないものを…

文字と声と亡霊たちの天国――『ディスコ・エリジウム ザ・ファイナル・カット』について

「けど、”ディスコ”・エリジウムでしょ……。おかしくないかしら? ディスコは過去のもの、忘れられたものでしょう?」 「過去は未来だが、未来は死んでいる!」 ――『ディスコ・エリジウム』 『ベイビー、あんたが探してんのは結局あんた自身なのよ』 ――舞城王…

『文体の舵をとれ』合評会の運営についてのメモと、人類の進歩と調和

序 昨夏から『文体の舵をとれ』の課題を Discord 上で集まってわいわいやっとりました。 本書は『ゲド戦記』などで知られるファンタジー・SF作家のル=グウィンがあなたの文体を鍛えてくれる創作指南本であり、全十章からなる課題をクリアすると最強の文体が…

かわいいゾウさんを撃つーー『It Takes Two』について

*本記事には『IT Takes Two』についてのネタバレが含まれています。*1 しかし私はその象を撃ちたくなかった。草の束を膝に叩きつける象を私は見つめた。象は何かに没頭している老婦人を思わせる雰囲気を持っていた。象を撃つことは謀殺のように思われた。 …

黒い太陽の中心を制御する黒い太陽の中心――『stikir』、『OMORI』、『Milk inside a bag of milk inside a bag of milk』、『Milk outside a bag of milk outside a bag of milk』

眠りに落ちる前の最後の九分間がいちばん好きだった。 現実と幻想が交錯する瞬間を待ち望んでいた。その一瞬のために起床し、一日を生き抜く。私のいちばんの夢は一日じゅう眠ることだった。実現したらなんとすてきだっただろう! でも、その夢はゆっくりと…

同じ人が書いたSFを読む。――『圏外通信 2021裏』『〈未来の文学〉完結記念号 カモガワGブックス vol.3』

「本の話をしよう。お前の書いた小説を読もう。」 江波光則『密葬 -わたしを離さないで-』 「まず、おたがいに本音で話しあおう」とホロ映像がいった。「だれだって本を読むのは好きじゃない。そうだろう?」 トマス・M・ディッシュ、浅倉久志・訳「本を読…

ひさしぶりだな、俺だ、今 VRChat にいる。おまえはどこに?

あっちこっちへ 余計な話が多い まるで聞いた話が全部右から左に流れていくように 興味が持てん ――『邦キチ!映子さん』Season 7 第八話 はじめに忠告しておくけれど、このテキストは長く、一貫性を欠いており、有益な知見も含まれていない。帰ってくれ。 Gu…

名バであれば、ウマのうち。ーー『ウマ娘 プリティーダービー』について

「そのほうが語って聞かせるレースをことごとく観戦する暇が、いつそのほうにあったのか不思議なことよ。そのほうはこのコロナ渦、一歩もスマホの前から動いた様子さえないように朕には思えるのだが。 」 「私が見、またおこなうことはすべてこのスマホ画面…

この犬を撫でられるゲームオブジイヤーがすごい大賞アワード2020

イヌを愛する者には誰でも大きな力を授けられるというのは本当だ。 ――イロコイ族の言い伝え*1 ンフ〜ン〜〜〜♪ メディックァ〜♪ ンフ〜(『ANUBIS: Zone of the Enders』のOPで流れる例の曲)*2 ヴィデオゲームにおける傑作の条件とは……なにか? 感動的なストーリー?…

本物のサイバーパンク体験はPS4の壊れたナイトシティにしか存在しない――『サイバーパンク2077』

過去を忘れることはできず、現在を思い出すことはできない。――マーク・フィッシャー PC、PS5、Xbox series X。 完成された棺桶(コフィン)で『サイバーパンク2077』を遊んでいる人間は不幸だ。 なぜならきらびやかな高解像(ハイ・レズ)だとしてもそれは紛い物…

日本姉SF傑作選を編む。

お願いだから戻ってきて、置いていかないで、と頼んでみても、姉はもうどこにもいない。 ――ケヴィン・ウィルソン「今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き」 日本姉SF短篇傑作選を編む。 2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫 SF エ 7-1)発売日: 2…

落ちる。――『Fall Guys: Ultimate Knockout』

六十名からなる豆人間たちがひとところに集まって「ゲームショー」をやらされる。「エピソード」=ステージごとに二割から三割程度が失格となり、最終的にたったひとりが勝者となる。 わたしたちは Fall Guys でサバイバルのなんたるかを初めて知ることにな…

twitterのアカウントが消えた。

おまえがメキシコに戻ってきたのは、生者といるより死者といるほうが落ち着くからだ。 ――ドン・ウィンズロウ、田口俊樹・訳『ザ・ボーダー』 【あらすじ】 10年くらいやってた twitter のアカウントが消えた。https://twitter.com/nemanoc 【経緯】 ふだんい…

第十回創元SF短編賞の思い出。

(撮影:織戸久貴)神戸の異人館(英国館)にて。 あの小説のなかで集まろう ーースチャダラパー「ET UP AND DANCE」 あれから、いろいろございまして。 www.tsogen.co.jp 拙作「回転する動物の静止点」(千葉集名義)が宮内悠介賞をいただきました。 選考委…

幻の漫画家 panpanya 先生は実在したッ!! 衝撃と慟哭の緊急サイン会レポ!

「panpanya という漫画家は実在しない」 と、母から教えられたのは小学校に入るか入らないか、とにかくそんな時分でした。 そりゃあショックでしたよ。これまで信じてきた世界を突然崩されたのです。納得できるものではありません。 当然、わたしは「じゃあ…

『異色作家短篇集リミックス』の電子版販売はじめました。+まぼろしの序文について

ふたりはたがいに相手の忘れたところを補いながら、長々とこの思い出を語りあった。ようやく話し終えると、 「ぼくらにとって、あのころがいちばんよかった」フレデリックが言った。 「ああ、そうかもしれん。いちばんよかったな、あのころが」デローリエは…

野球で学ぶ『ギリシャ棺』的問題

探偵のほうのエラリー・クイーンの生年は『最後の一撃』に「一九〇五年」とはっきり記述されていて、斯界の議論もおおむねこれに沿っている。かたや、「一九〇五年」説に疑義を呈して新説を築きあげたすごいヒトもネットには存在するわけだけれど、とりあえ…

『秋津』の各話扉絵の元ネタ。

とってもおもしろいギャグ漫画(雑な紹介)『秋津』が完結してしまいましたね。 供養代わりに各話の扉絵の元ネタ(映画ポスター)を当てるゲームでもしようと思います。 追記: コメント欄の皆様による迅速かつあたたかいご教示により、元ネタタイトルが見事…

ドラマ版『ファーゴ』のクォート集

ネタバレ防止のため、発言者名は伏せてあります。 こうして抜き出してみると、各喩え話がゆるやかに繋がっていることがわかるようなわからんような。 一話「ワニのジレンマ」 「私たちは友人ではない……つまりですね、いつかはそうなるかもしれない。にしても…

月毎の新刊チェック一覧を画面右側のフッタに作った。

春先はやるき絶無でしたが、来月からは真面目にチェックしようと思います。

名探偵マックス〜『犬神家の一族 怒りのゴクモン・アイランド』

・『マッドマックス 怒りのデスロード』の褒め言葉で多いのが「セリフに頼らない脚本づくり」です。 ・これからの本格探偵もセリフに頼らない推理が求められるのではないか。 ・サムズアップと作図とカーアクションだけでコミュニケーションを図るボサボサ頭…

時系列逆順物語のミステリ性

枕 孔田さんがブログでミステリっぽいMVを紹介されておられて、そういえばさいきんってか結構前にミステリっぽいMVみたなあ、っつって。 それがこれ。 時系列逆順物語とは何か。と、ぼくの考えるミステリーの基本構造 Maroon 5 の「Maps」のMV(監督はぼくら…

2014年度新本格新刊本屋大将大賞

概要: 2014年に読んだ新刊ベストです。 ベスト◯◯形式って毎年やってると飽きるもので、年ごとに野球やサッカーのベストオーダー形式にしたり目先を変えているんですがどうもしっくりこない。今年、今年はね、長谷川町蔵がこんなことを言っていたので、映画…

今年観た映画の歌曲でよかったのを五つあげよう

インターネット界では各種ベストが発表されます今日このごろ、今年も色んな映画がございましたね。数々の印象的なサントラがございましたね。正直、音楽でも映画でも脳天に直接麻薬成分を注入されるような作品しか嗜まない卑賤な我が身ですが、憚りながら映…

今更2013年新作のベスト

だいたい思い出せる順。選出理由は本人に訊いてくれ。 新刊10+10選 デニス・ルヘイン『夜に生きる』ハヤカワポケミス(米、ノワール) ミュリエル・スパーク『バン、バン! はい死んだ』河出書房新社(英、現文) ドン・デリーロ『天使エスメラルダ:9つの物語…

手塚治虫の終末系短編まとめ

カタストロフ 「大洪水時代」 ・「ノアの箱船」をモチーフにとった手塚版『日本沈没』。原子力を軍事力として保有するようになった日本。建設中の原子力要塞の大事故が発生する。ヒゲオヤジがランプとコンビを組んで小悪党を演じた珍しい作品。 「巨人と玩具…

バーンズの十戒

ジュリアン・バーンズに『フロベールの鸚鵡』という、まあフロベールの評伝なんだか小説論なんだかわからないけれどもこの愉快さはともかく小説だ、的な作品があります。べらぼうにおもしろい小説です。小説じゃないのかもわからないけれど、ともかくおもし…

世界幻想文学大賞短編部門受賞作リスト

(2013年2月更新) 補完と一覧性確保のため、なんとなく作った。邦訳の雑誌収録分は『S-Fマガジン』以外省いてる。 参考サイト: 『翻訳作品集成』http://homepage1.nifty.com/ta/award/wfc.htm 『The Internet Speculative Fiction Database』http://www.isf…