名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


読書、映画、その他。


調べ物

フィギュアスケートまんがにおけるジャンプ時のコマ送り表現について。

フィギュアスケートまんがを読んでいると、どの作品にもある演出が共通して描かれることに気づきます。 それが「ジャンプ時のコマ送り」。 (『メダリスト』つるまいかだ 『アフタヌーン』連載) このようにジャンプの回転を連続写真のように、ひとつの画面…

「『スリー・ビルボード』は本当にフラナリー・オコナーなの?」を考える。

『善人はなかなかいない』を読む人 フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)作者: フラナリーオコナー,Flannery O'Connor,横山貞子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/03/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (16件) …

『君の名は。』はアカデミー賞を穫れるか? :今年の有力海外アニメ映画の状況

結論からいうと、たぶん無理。 『君の名は。』オスカー候補に名乗り!第89回アカデミー賞長編アニメ部門の審査対象作品に - シネマトゥデイ この一報を目にしたとき、「正気か?」と関係者の判断を疑った。 「『君の名は。』がオスカー穫れる実力なんてある…

「カートゥーン・アニメキャラの指はなぜ四本か」を取り巻く言説

別にカートゥーンアニメブログでもないのに、カートゥーンネタが三つ続きますね。なんでかな。 ミッキーマウス・クラブの子どもたち 昔から巷間でよく話題にのぼるものの結局なんだかわからない問題の一つに「なぜカートゥーンの指は四本なのか?」がありま…

海外TVアニメの若手クリエイターたちにおける傾向と対策

proxia.hateblo.jp でカートゥーン・ネットワークで2010年代に始まって継続中の番組をリスト化したわけですが、つらつら眺めて見るに、80年代生の若手クリエイターが多い。 彼らはいったいどういう人種なのか。 何を食ったらああいうものが出来上がるのか。 …

2010年代のカートゥーン・ネットワーク・アニメの様相というか作品リスト

関連記事 proxia.hateblo.jp というわけで目次 『アドベンチャー・タイム』が終わる。『レギュラーSHOW』も終わる。『おかしなガムボール』も終わる。2010年代のカートゥーン・ネットワーク、ひいてはアメリカのTVアニメ界を牽引してきた名作たちが立て続け…

じゃあ、『聲の形』の原作者と監督はなんと言っているのか。:監督・山田尚子編

proxia.hateblo.jp の続き。今回は映画版・山田尚子編です。ちなみに今回は『聲の形』に関してのインタビューのみを扱います。 ちなみに監督を含めた俳優・スタッフのインタビューやメディア露出は映画公式サイトにまとめられています。ありがてえありがてえ…

じゃあ、『聲の形』の原作者と監督はなんと言っているのか。:原作者・大今良時編

togetter.com 『聲の形』が晒されている倫理的な批判はだいたい以下の二点に切り分けられます。:「いじめ被害者がいじめ加害者を好きになる、というプロットが加害者側にとって都合良すぎる」「聴覚障害を題材にした映画であるのに、十分な量の字幕上映がな…

ヤングアダルト小説家に転向したアメフト選手と『Ballers/ボウラーズ』の話。

『Ballers』 現在 Hulu で絶賛配信中のドウェイン・ジョンソン主演『Ballers/ボウラーズ』がおもしろい。 アメリカン・フットボールの元スター選手が引退後に投資会社の下っ端営業(現役フットボーラー狙い)に身をやつして四苦八苦する30分コメディです。ア…

映画監督の名前から入るネット配信海外ドラマ入門

Amazon の本格参入により戦国時代と化した海外ドラマ……。 タイトルがあまりに多すぎるために興味はあってもどれから入ればいいかわからない、という人も多いはず。「今」こそ見るべき海外ドラマ (星海社新書)作者: 池田敏出版社/メーカー: 講談社発売日: 201…

ウサギ帽子の謎と、絵本作家ジョン・クラッセンはどこから来たのか。

前回までのあらすじ 半年くらいまえにジョン・クラッセンの紹介記事を書こうとしたが途中で飽きて放置してたけれど、なんかtwitter で盛り上がってるっぽいのでこれはクラッセン・ブームが来るなと思ってがんばって完成させようとした。どこいったん作者: ジ…

『ファインディング・ニモ』のドリーは本当に記憶障害なのか。

本記事の概要 『ファインディング・ニモ』に出てくるやたら忘れっぽいナンヨウハギのドリーが記憶障害(健忘症)なのかについて検証した英語記事の翻訳。 前説 『ファインディング・ドリー』を観て、「『ニモ』のときのドリーの忘れっぽさは単なるキャラづけ…

ディズニーのキツネ史:『ピノキオ』から『ズートピア』まで/後編

proxia.hateblo.jp からのつづき。『ズートピア』他のネタバレを含みます。 ズートピア (ディズニーアニメ小説版)作者: スーザン・フランシス,橘高弓枝出版社/メーカー: 偕成社発売日: 2016/04/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見…

ディズニーのキツネ史:『ピノキオ』から『ズートピア』まで/前編

目次 目次 Twentieth Century Foxes in Disney 1930年代:ディズニーのキツネ前史 「キツネ狩り」(The Fox Hunt、1931年、ウィルフレッド・ジャクソン監督) 「ドナルドのきつね狩り」(The Fox Hunt、1938年、ベン・シャープスティーン監督) 1940年代:「…

『ズートピア』の制作史、および『ズートピア』のテーマは「差別」であるのか?

当ブログの最新記事一覧が『ズートピア』で埋め尽くされてて『乙嫁語り』のパリヤさん顔で「うへえ」となりそうな今日このごろですが、もうちょっとだけ『ズートピア』の話をしたいと思います。 今回はズートピアの制作過程について、です。ガイドブックや各…

『ズートピア』におけるハードコア反復/伏線芸のすべて

TLで『ズートピア』鑑賞済み人数が『マッドマックス:FR』並に達した(肌感覚)のでそろそろ『ズートピア』のネタバレをしてもいいんじゃないかと思った。 そういうわけで、本記事は『ズートピア』の重大なネタバレを多数含んでいます。 っていうか基本的に…

日本語で読める『ズートピア』のインタビュー記事の一覧

主な人物 バイロン・ハワード(監督*1 Director & ストーリー Story) リッチ・ムーア(監督 Director & ストーリー Story) ジャレド・ブッシュ(共同監督 Co-Director & 脚本 Screenplay & ストーリー Story) クラーク・スペンサー(プロデューサー Prod…

『ズートピア』スタッフインタビュー記事翻訳:監督編

逐語訳でも完訳でもない。 原文:http://www.slashfilm.com/zootopia-directors-interview/インタビュイー: リッチ・ムーア(監督) バイロン・ハワード(監督)インタビュアー: ピーター・サイレッタ スパイ映画だった『ズートピア』 ハワード:まずはじ…

『ズートピア』スタッフインタビュー記事翻訳:脚本家、プロデューサー編

逐語訳でも完訳でもない。 原文:http://www.slashfilm.com/zootopia-writers-interview/インタビュイー: ジャレド・ブッシュ(共同監督、ストーリー、脚本) フィル・ジョンストン(ストーリー、脚本) クラーク・スペンサー(プロデューサー)インタビュ…

iTunes における映画の雑なあらすじ分類

基本的に iTunes で販売・レンタルされている映画に書かれているあらすじはきちんとしている。 どこの馬の骨とも知れないやつが無償であらすじを書く Wikipedia や見放題パックで売りっぱなしの Netflix などとは違って、映画会社もアップルもカネとるために…

日本で観られるマンブルコア映画一覧

(2017年5月13日: 作家情報を最新のものに更新) 雑なあらすじとわたし 余人には内緒だが、映画における雑なあらすじ探しを日々の暇つぶしにしている。wikipedia に載ってるようなあらすじもたいがい雑なのが多いが、金が絡んでるはずのところでも案外手を抜…

フィクションにおける切腹の偽史のためのメモ

木下昌輝の幕末怪奇連作短編集『人魚ノ肉』を読んだ。読書会の課題本です。 そういうわけで近頃、切腹についてよく考える。 『人魚ノ肉』には切腹メインの話が二編、収録されている。 片方は唐突な切腹死を遂げた山南敬助の謎を沖田総司が探偵役として(?)…

エラリーベイベーは死んだのか

去年のいつだったかエラリー・クイーン『ギリシャ棺』の読書会を担当した。 そのとき資料として参照したフランシス・M・ネヴィンズによる伝記『エラリイ・クイーンの世界』の増補改訂版『Ellery Queen: The Art of Detection』の最後のほうに、「なぜアメリ…

「不可能」をいつから日本人が使っていたかということに関して

僕は明治大正の本を日々読み漁ってるすごい人ではないので、以下はすべてインターネットで調べたことです。 江戸期 「不可能」という組み合わせ自体は漢籍を輸入する過程で江戸時代にはもう日本人の目に触れていたらしく*1、日本人儒学者の山井崑崙(鼎)が…