あの小説のなかで集まろう
ーースチャダラパー「ET UP AND DANCE」
あれから、いろいろございまして。
拙作「回転する動物の静止点」(千葉集名義)が宮内悠介賞をいただきました。
選考委員の皆さまがた、東京創元社編集部の方々、友人各位に心より御礼申し上げます。
正賞のトキオ・アマサワさん、優秀賞の斧田小夜さん、そして日下三蔵賞の谷林守さんの御三方にもお祝い申し上げます。
宮内先生は(自分としては珍しく)デビュー短篇集『盤上の夜』から好きで追ってきた作家で、ある種のゲーム的勝負を扱った小説、それも架空の謎ゲーム小説*1を出そうと思ったのも、ゲスト審査員に先生のお名前があったのも少なからず影響しているようにおもいます。*2重ねて感謝を捧げます。
みなさんも激おもしろアメリカマイノリティ×VRセラピー文学『カブールの園』を読もうな。姉文学の名作「半地下」も同時収録されている。ああいうふうに遠くへ行けたらなとおもうよね。明日には新作も出ますよ。*3
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ちなみに「回転する動物の静止点」(以下、「回転動物」)の内容ですが、ええっと、京都のとある小学校内で動物をコマのように回してガチらせるあそびが流行る話です。
そうですね。ジーン・シェパードの「スカット・ファーカスと魔性のマライア」ですね。*4どうぶつ版ベイブレードですね。シカとかシロクマとかが回ります。書く前に織戸久貴先生*5にコンセプトだけ話したら「どうぶつタワーバトル?」と言われました。そういう理解でいいです。
タイトルはハイスミス経由エリオット行です。エピグラフはパラニュークです。ドノソの『別荘』です。姉です。亡霊です。動物です。映画です。漫画です。聖書です。スポーツ史です。人間です。その他諸々のすてきなものぜんぶです。あとはそう、ダンス……すなわちダンス(®矢部嵩)。
でも一番影響受けたのは法月綸太郎の『北米探偵小説論』(野崎六助)文庫解説かもしれない。あるいは『おかしなガムボール』。
で、「回転動物」を今後どこで読めるかというと。
特別賞はスペシャルメンション的なアレなので商業での活字化はアレがナニらしく、いわゆる同人的なルートで出すことになろうかと思われます。最近流行りのディープパブリッシングアンダーグラウンドってやつですね。
折良く昨年より織戸久貴氏と〈ストレンジ・フィクションズ〉なる文芸創作サークルを立ち上げておりまして、そちらのほうで織戸氏の百合スメルSF(らしい)「あたらしい海」と合わせて〈第十回創元SF短編賞最終候補ミニアンソロ(仮)〉的なものを編む方向で進んでいます。
〈ストレンジ・フィクションズ〉本誌とは別の、文庫サイズの本になる予定です。なればいいなとおもっています。
ちなみに織戸氏とは別に、今回の最終候補組からもう一方加わる予定です。つまり、(たぶん)三人分の最終候補作が読める。お得ですね。年内には出せるといいよね。
追記: というわけで第三の男は日下三蔵賞の谷林守さんです。
https://twitter.com/notfromsakhalin/status/1144565391915569153?s=21
なにかしらで固まったら、またご報告します。
報告する用の twitter アカウントも作りました。
既存のやつとダブルで持つ意味が今んとこ「スクリーンネームを変えたくない」以外にないので近い内に消えるかもしれない。
アッ、あとBOOTHで〈ストレンジ・フィクションズ〉から出した『異色作家短篇集リミックス』の電子版を引きつづき販売しております。5月の21日前後までの期間限定販売です。
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わたしが寄せた「象が地下鉄東西線に体当たり」は、「回転動物」と同じ本(若島正篇『異色作家短編集18 狼の一族 アンソロジー/アメリカ篇』)をネタ元にしていて、こう例えておけば言葉づらの通りがいいので例えておきますが、双子のような存在です。あわせて読んでおくといいことがあるかもしれません。同人誌製作費の赤字分が減るとかね。
もちろん、他にも織戸氏の作品や豪華ゲスト陣の寄稿もあって読み応え抜群じゃよ。詳しい内容は以下。
今回は以上です。おつかれさまでした。今後ともご愛顧のほど、よろしくお願いします。
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