名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


読書、映画、その他。


2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

光のほうへ――アンソニー・ドーア『すべての見えない光』/千字選評(4)

アンソニー・ドーア『すべての見えない光』(藤井光・訳、新潮クレスト・ブックス、2016年) 二千字になっちゃった。 空気は生きたすべての生命、発せられたすべての文章の書庫にして記録であり、送信されたすべての言葉が、その内側でこだましつづけている…

小路啓之について。

www.yomiuri.co.jp 小路啓之が亡くなった。交通事故だった。第一報を伝えた読売新聞の見出しは「漫画家死亡、「リカンベント」型自転車で転倒か」。twitter のトレンドワードに「リカンベント」が浮上し、みなリカンベント自転車についてコメントしていた。…

不可能とアンビバレントによる快楽 ―― ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』/千字選評(3)

そろそろお気づきかと存じますが、フフフ、本連載は〈新潮クレスト・ブックス〉全レビュー企画です。フフフ、ウソです。 ジュンパ・ラヒリ『べつの言葉で』(中嶋浩郎・訳、新潮クレスト・ブックス、2015年9月30日)べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス)作…

あなたが選んでくれた国――千字選評(2):『陽気なお葬式』リュドミラ・ウリツカヤ

『陽気なお葬式』リュドミラ・ウリツカヤ(奈倉有里・訳、新潮クレスト・ブックス、2016年2月25日) ここにいる、ロシアに生まれた人々は、生まれ持った才能も受けた教育も、あるいは単に人間としての素養も、何もかも違ったが、ひとつ共通点があった――みん…

爆弾のある日常――千字選評(1):『あの素晴らしき七年』エトガル・ケレット

これまでのあらすじ 「読書、映画、その他」と書いてあるのに、「アニメ、映画、その他」みたいな状況になってきたので書評を書く訓練などしたい。ほっとくとだらだら長くなるのでとりあえず千字前後を目標に。 『あの素晴らしき七年』エトガル・ケレット(…

「カートゥーン・アニメキャラの指はなぜ四本か」を取り巻く言説

別にカートゥーンアニメブログでもないのに、カートゥーンネタが三つ続きますね。なんでかな。 ミッキーマウス・クラブの子どもたち 昔から巷間でよく話題にのぼるものの結局なんだかわからない問題の一つに「なぜカートゥーンの指は四本なのか?」がありま…

海外TVアニメの若手クリエイターたちにおける傾向と対策

proxia.hateblo.jp でカートゥーン・ネットワークで2010年代に始まって継続中の番組をリスト化したわけですが、つらつら眺めて見るに、80年代生の若手クリエイターが多い。 彼らはいったいどういう人種なのか。 何を食ったらああいうものが出来上がるのか。 …

2010年代のカートゥーン・ネットワーク・アニメの様相というか作品リスト

関連記事 proxia.hateblo.jp というわけで目次 『アドベンチャー・タイム』が終わる。『レギュラーSHOW』も終わる。『おかしなガムボール』も終わる。2010年代のカートゥーン・ネットワーク、ひいてはアメリカのTVアニメ界を牽引してきた名作たちが立て続け…

九月に観た新作映画短観

年ベスト級が三つ。豊作です。 『ライト/オフ』(デヴィッド・F・サンドバーグ) 「ライト/オフ」予告編 姉映画。 『アメリカン・レポーター』(グレン・フィカーラ)アメリカン・レポーター 全然前に進めない人生を革命するためにイラク戦争中のアフガニス…