名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


読書、映画、その他。


2017-01-01から1年間の記事一覧

ラーメンのたまごをどう食べればいいのか問題

たいして美味い食い物でもないどころか一食あたりベーコン七枚分ほどの寿命を減らす反滋養食にもかかわらず、ラーメン屋という帝国はなぜだか繁栄を極めており、いっこうに滅びる気配がない。 ことさら嫌いな文化なわけでもなし、滅びないなら滅びないで結構…

救おうとするから救えない――模造クリスタル『黒き淀みのヘドロさん』

模造クリスタルは常に世間や他人から廃棄された人間を描く。黒き淀みのヘドロさん 1 (it COMICS)作者: 模造クリスタル出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2017/03/15メディア: コミックこの商品を含むブログを見る(作者のサイトで三話目まで読めます。http:/…

『モアナ』はいかにしてプリンセスという名の呪縛に打ち克ったか

*公開初日かつコンセプトの話が主なのでストーリーの話はほぼしてませんが、「こういうオチにはならない」と明かしている点においてはネタバレです。 モアナ「あのね、わたしはプリンセスじゃない。族長の娘だよ」 マウイ「いいや、プリンセスだね。ドレス…

『ラビング 愛という名前のふたり』の感想

『ラビング 愛という名前のふたり』( Loving 、ジェフ・ニコルズ監督、2016年、米) 映画『ラビング 愛という名前のふたり』予告 光と影のヴァージニア 個別の愛自体になんら「特別さ」などなく、愛は常に普遍的で、だから『ラビング』は二人の出会いや生立…

映画『ラ・ラ・ランド』の感想――夢を夢見て。

『ラ・ラ・ランド』(La La Land, 2016年、米、ダミアン・チャゼル監督) 引用が引用であることそれ自体に意味を持つような状況が成立するのは、どのような場合なんだろうか。それはおそらく、物語のあらゆる要素が「過去」で構成されている場合にちがいない…

2016年に観た新作映画ベスト25とその他

ベストといいますか、この一年書いた感想のまとめといいますか。 今年は去年ほど映画を観ない気がします。 映画トップ10 1.『クリーピー 偽りの隣人』(黒沢清監督) クリーピー 偽りの隣人発売日: 2016/11/02メディア: Amazonビデオこの商品を含むブログ…