名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


読書、映画、その他。


2016年上半期の新作映画ベスト10+10

 2016年も半分過ぎましたね。
 というわけで、今年の上半期に観た新作映画のベスト10です。

表スジ

1.『クリーピー 偽りの隣人』(黒沢清監督、日本)
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 いわゆる「セリフの自然さ」を追求したと謳い事実ナチュラルに撮っている作品がスクリーンに映ってみるとどうもしっくりこない、「リアル」には受け取れない。そういう不思議な地場が映画には働いているもので、では映画のリアリティとはなんだろうみたいな話を考えます。
 一方でリアルさとは反対のところで、紋切り型の陳腐さみたいなものも映画のウソっぽさを際立たせがちです。しかし、善人顔の役者を悪役に配する場合にどこかで説明の時間を取る必要があって、紋切り型がないとフィクションというのはどうも流れが淀みます。
 大体の作品はそのあいだでバランスを取ろうとしたり、あるいは開きなおったりしているわけですが、この作品はそのどちらの道もとっていないように見える。紋切り型が紋切り型であるという事実そのものを利用し、何か別のことを言おうとしているようにも見える。
 それは何か。

 冒頭、サイコパスの連続殺人犯(馬場徹)が西島秀俊演じる刑事に向かってこう言う。
「刑事さん、僕には僕のモラルがあるんですよ」
 直後、取調室から脱走した殺人犯は女性を人質に取る。西島は人質にフォークをつきつける殺人犯に向かって、「おまえにもモラルがあるって言ったよな」と信頼に訴えてかけて説得にかかり、丸腰で近づく。
 殺人犯は「じゃあ、僕があんたに後ろを向けっていったら後ろを向けるんですか?」と問われて、西島はこともなげに「ああ、できるよ」と後ろを向き、途端に腰をフォークで刺される。殺人犯は西島の後輩の刑事(東出昌大)に撃たれ、死ぬ。

 その銃声でもって、「俺たちはこれからルールの話をするんだ」と宣言される。

 日本ではだいたいの人が日本語を、NHKによって統一された標準語を話していて、一見みんなつつがなくコミュニケーションをこなしている。
 ところが、まったく同じ文章や単語が発話者と受け手で百八十度異なる意味を持ってしまうケースも日常生活では多い。人間にはそれぞれ解釈のルールがあって、そのルールは各々で微妙にあるいは大幅に違う。

 『クリーピー』はそんな言葉のルールの支配権をめぐる抗争の話なのだと思います。
 劇中内の言葉には、あきらかに魔力が付加されている。ヒロインの竹内結子は夫である西島と悪役である香川照之のあいだで言葉のパワーゲームに板挟みにされて幽霊のようにさまよう。ある未解決事件の関係者である川口春奈西島秀俊が激しく問い詰めるとき、尋問前までは何の変哲もなかった*1空間が突如としてファンタジーめく。
 西島も香川も自分のオブセッションのために他人を支配しようとします。支配とは、他人に自分の思い通りの言葉を言わせることです。自分の言葉によって画定された世界を無批判に相手に受け入れさせることです。そういうのを無自覚に行えるからこそ、西島も香川も「怪物」と呼ばれるのです。
 冒頭で「後ろを向けるか」と問うてきた殺人犯に対して背中を無防備に晒したのは、彼が性善説を信奉するヒューマニストであるからではないのかもしれません。自分のルールがその場を支配している、という無邪気な傲慢さからです。そうした心性の持ち主だからこそ、もう一匹の怪物・香川の対手足りえるのです。
 山場のシーンで西島が香川に対して「おまえは悲しいやつだな!」というセリフをぶつけます。人間ではない、「怪物」である香川を評して「悲しいやつ」と上から目線で哀れむことでマウンティングしようとしているわけですが、これ自体使い古された、悲しいくらいに陳腐な紋切り型です。しかも、自分を常に最高だと思っている*2香川はまるで意味を捉えられない。
 香川は他人の内面にも自分の内面にも興味が無い。単にある種の人間のどこを押せば、どう動くかについて通暁しているだけです。
 そしてそれは犯罪心理学者たる西島にも通じる。ただ彼は学者として理論に詳しくても、香川のように実地でどう機能するかというエンジニアリングについてはまるで素人です。
 その差が彼等のバトルスタイルにそのまま反映されていきます。
 要するに、最高にアツい格闘映画ってわけです。



2.『ズートピア』(バイロン・ハワード&リッチ・ムーア監督、アメリカ)
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 何かを過剰に突き詰めた作品が好きです。
 作家というものは上手くなればなるほどそうしたものを巧妙に隠したがりますが、やはりディズニーはファミリー向けですね、ヤバさが非常にわかりやすい。
 わかりやすい映画が好きです。
 上の画像は一番好きなジュディのアングルです。

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3.『バタード・バスタード・ベースボール』(チャップマン・ウェイ&マクレーン・ウェイ監督、アメリカ)
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 感動を絞りとる系の映画が嫌われがちなのは、エクスプロイテーションとして本気で搾り取ろうと考えられていないからだと思います。
 『バタード・バスタード・ベースボール』は神話を持たない国アメリカの神話であるベースボールでもってそこらへんを真摯に追求したドキュメンタリーであります。

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4.『レヴェナント 蘇りし者』(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督、アメリカ)

 名作マンガ『くまみこ』の映画化です。
 ヒトとクマの触れ合いが描かれていて、とても泣けますね。

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5.『人生はローリングストーン』(ジェームズ・ポンソルト監督、アメリカ)

 一夜にして時代の寵児になった人気純文作家(ジェイソン・シーゲル)と彼に内心嫉妬しつつも『ローリング・ストーン』誌の記者として密着取材する記者(ジェシー・アイゼンバーグ)、二人のクズ青年が織りなすステキなロードムービー

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6.『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也監督、日本)

 映画にあってのみ暴力はいいものですよね。
 ロジカルな暴力であればなお最高です。



7.『ボーダーライン』(ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、アメリカ)

 だって麻薬戦争ものですよ?

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8.『日本で一番悪い奴ら』(白石和彌監督、日本)
 日本で一番ピュアな青春映画。
 絵面としてはどう考えても間違っているけれど、雰囲気的には超感動、みたいな演出に弱い。



9.『ロブスター』(ヨルゴス・ランティモス監督、アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ)
 結婚できない人間は動物に変えられる世界の話。
 このコンセプト一行で、ハイ優勝、てなりますよね。
 好きでもないサイコパスの女と付きあおうと頑張るシーンがとても良かったですね。
 『日悪』といい『ディスべ』といい『レヴェナント』といい、人間がその人なりに頑張ってる姿を見てると幸福になれます。

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10.『帰ってきたヒトラー』(デビッド・ベンド監督、ドイツ)
 『ボラット』みたいな半突撃ドキュメンタリー方式を取り入れた映画なんですが、主演のヒトラー役の人が真にすごいのは単に「ヒトラー」を演じているのではなくて、「『帰ってきたヒトラー』のヒトラー」を演じているところ。


裏スジ

1.『イット・フォローズ』(デイヴィッド・ロバート・ミッチェル監督、アメリカ)
 単体でもよろしいんですが、監督の前作である『アメリカン・スリープオーバー』と併せてみると二百万倍良くなりますね。



2.『マネー・ショート』(アダム・マッケイ監督、アメリカ)
 「論理的に考えれば確実に世界が崩壊するとわかるはずなのに、誰も理解していない。ポジショントーク的に『理解できないフリ』をしているのではなくて、本当に理解していない」という恐ろしい状況が歴史的な事実としてあった。
 そういう世界で方舟を作り始める男たちの話。

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3.『ワイルド・ギャンブル』(アンナ・ボーデン&ライアン・フレック監督、アメリカ)
 『人生はローリング』と並ぶクズ野郎ロードムービーオブザイヤー。ギャンブル狂いで家族を失った男を希代のクズ野郎俳優ベン・メンデルソーンが演じてるだけあって、クズ野郎度ではこちらの方が断然上。

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4.『さざなみ』(アンドリュー・ヘイ監督、イギリス)
 元カノを忘れられないおじいさんと元カノを忘れられないおじいさんにヤキモキするおばあさんの話。
 人生において既になされてしまった決定的な選択を、やりなおそうにももう遅すぎる歳になってから悔やみだす。詮ないな、と他人からすれば思うけれども、そういう詮ないことに悶々となってしまうのが老いというものなのかもしれません。

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5.『マジカル・ガール』(カルロス・ベルムト監督、スペイン)
 気軽に祈ったり願ったりすると大変なことになるから気をつけようね、というヤクザ映画。

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6.『キャロル』(トッド・ヘインズ監督、アメリカ)
 何もかもがグラマラス。

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7.『ヘイル・シーザー』(コーエン兄弟監督、アメリカ)
 ジョシュ・ブローリンが頑張ってると観ているこちらも笑顔になりますよね。

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8.『COP CAR』(ジョン・ワッツ監督、アメリカ)
 焦ったおっさんが下着姿で必死に走ってる姿をロングショットで撮るとなんだかいい具合になるという発見。



9.『ブリッジ・オブ・スパイ』(スティーヴン・スピルバーグ監督、アメリカ)
 アメリカ人が信じなくなったアメリカの神話についてのおはなしで、これを観てると『ズートピア』とかの理解が容易になります。



10.『タンジェリン』(ショーン・ベイカー、アメリカ)
 人探し映画はいいよね。

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*1:まあ、あるんですが

*2:パンフのインタビューで香川照之が言ってた

2016年6月注目の新刊三十冊

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蓮實重彦『伯爵夫人』新潮社

伯爵夫人

伯爵夫人

世界の均衡は保たれるのか? エロスとサスペンスに満ちた文学的事件! 帝大入試を間近に控えた二朗は、謎めいた伯爵夫人に誘われ、性の昂ぶりを憶えていく。そこに容赦なく挑発を重ねる、従妹の蓬子や和製ルイーズ・ブルックスら魅力的な女たち。しかし背後には、開戦の足音が迫りつつあるらしい――。蠱惑的な文章に乗せられ、いつしか読者は未知のエクスタシーへ。著者22年ぶりとなる衝撃の長編小説。

 例のアレ。蓮實センセが小説を前に書いてたことを初めて知った。

ハビエル・マリアス『執着』東京創元社

執着 (海外文学セレクション)

執着 (海外文学セレクション)

30代の編集者マリアが、毎朝カフェで見る仲のよい夫婦。その夫がホームレスにメッタ刺しにされて死亡。その後、親しくなった未亡人から、夫の親友だったという男を紹介されるが、未亡人仲の良いその男とマリアは関係を持つように……。ある日男の部屋でマリアは、客と男の驚くべき会話を耳にする! 事件は通り魔殺人ではなかったのか? 三角関係の精算? それとも嘱託殺人? 愛とは? 人間とは? 読者を知的妄想に引き寄せる。ミステリ仕立ての愛をめぐる考察。

 なぜか日本で映画化された『女が眠る時』などのスペインの俊英ハビエル・マリアス最新作。

J・M・クッツェー『イエスの幼子時代』早川書房

イエスの幼子時代

イエスの幼子時代

過去を捨てた男は、少年と出会い、断ち切れない絆を知る――。

初老の男が5歳の少年の母親を捜している。2人に血の繋がりはなく、移民船で出会ったばかりだ。彼らが向かうのは、過去を捨てた人々が暮らす街。そこでは生活が保障されるものの、厳しい規則に従わねばならない。男も新たな名前と経歴を得て、ひとりで気ままに生きるはずだったが、少年の母親を捜し、性愛の相手を求めるうちに街の闇に踏み込んでゆく。
たくらみと可笑しさのつまった、ノーベル文学賞作家の新境地。

あらすじのかぎりでは、キリストのバイオグラフィー的作品ではないっぽい。

『新編・日本幻想文学集成 第1巻』国書刊行会

安部公房 (著), 倉橋由美子 (著), 中井英夫 (著), 日影丈吉 (著), 安藤礼二 (編集), 山尾悠子 (編集), 高原英理 (編集), 諏訪哲史 (編集)

豪華な選者に贅沢な著者、極上のアンソロジー。

『明治深刻悲惨小説集』講談社文芸文庫

死、貧窮、病苦、差別――
明治期、日清戦争後の社会不安を背景に、人生の暗黒面を見据え描き出した「悲惨小説」「深刻小説」と称された一連の作品群があった。
虐げられた者、弱き者への共感と社会批判に満ちたそれらの小説は、当時二十代だった文学者たちの若き志の発露であった。
自然主義への過渡期文学」という既成概念では計れない、熱気あふれる作品群を集成。

こういうゲスの極みみたいなタイトルのアンソロに惹かれないわけがない。

マキシーン・ホン・キングストン『〈村上柴田翻訳堂〉チャイナ・メン』新潮社

チャイナ・メン

チャイナ・メン

19世紀から20世紀にかけてアメリカを目指して海を渡った中国人たちがいた。鉄道建設や鉱山労働に従事し、アメリカの繁栄の礎を築いたが、深い沈黙の向こう側へと泡のように消えていった――。その末裔として生まれた女性作家が、声なき声に顔と名前を与え、想像力と幻想で神話的に紡いだ一族の物語。伝説の翻訳家の訳も冴えわたる全米図書賞受賞作品。『アメリカの中国人』改題。《村上柴田翻訳堂》シリーズ。

例の翻訳堂シリーズ。片っ端から読んどきゃ良い安心感。

ジェシカ・ジュリアス『The Art of ズートピア

ジ・アート・オブ ズートピア: THE ART OF ZOOTOPIA

ジ・アート・オブ ズートピア: THE ART OF ZOOTOPIA

ズートピア』のアートオブ本待望の邦訳。
ディズニー映画のアートオブ本としては異例の速度。ちなみに『アーロと少年』のアートオブ本も同日発売。

池上英洋他『美少年美術史』ちくま学芸文庫

美少年美術史: 禁じられた欲望の歴史 (ちくま学芸文庫 イ 55-3)

美少年美術史: 禁じられた欲望の歴史 (ちくま学芸文庫 イ 55-3)

神々が愛したかわいくエロティックなクピドたち。古代の英雄や皇帝たちを狂わせ、歴史の運命を大きく動かした少年愛のめくるめく世界。中世キリスト教社会で、激しい抑圧のなか密かに紡がれた同性愛的嗜好。そしてルネサンス期を迎え、ふたたび花開く男たちの肉体美―。西洋美術には美少年を描いた傑作が数多く存在する。彼らはなぜこれほどまでに芸術家たちを虜にし、その創造力をかきたててきたのか?ときに勇ましく、ときに儚げに描かれたその姿に、人類のどのような欲望が刻み込まれているのか?アート入門としても最適。カラーを含む200点以上の図版とともに辿るもうひとつの西洋史。

西洋美術解説業池上先生の最新耽美。「美少年」とついてればみんな買うと思ってまたあ。

東禹彦『爪 改訂第2版』金原出版

爪 基礎から臨床まで 改訂第2版

爪 基礎から臨床まで 改訂第2版

爪の基礎的な知見、ならびに現在の爪疾患に関する臨床的知見・治療法をまとめたロングセラーテキストの改訂版ついに刊行! 50年にわたり爪疾患の原因や治療法に関する研究を行う爪のスペシャリストの決定版。陥入爪・巻き爪に対する多くの治療法の登場,治療可能となった厚硬爪や爪甲鉤彎症についても追加し、本邦美容業界のジェルネイルの普及もふまえて解説・文献の追加を行っ。QOL の改善に役立つ、関係者必携の書。

充実した爪解説。

山岡重行『腐女子の心理学 彼女たちはなぜBL(男性同性愛)を好むのか?』福村出版

腐女子の心理学 彼女たちはなぜBL(男性同性愛)を好むのか?

腐女子の心理学 彼女たちはなぜBL(男性同性愛)を好むのか?

「本書は社会心理学とパーソナリティ心理学の観点から、オタクと腐女子を研究した結果をまとめたものである。オタクとはどのような人物なのか、腐女子とはどのような人物なのか、その一端を明らかにすることを目的とする。客観的なデータを収集し、そのデータを統計学的に分析し、その分析結果からオタクと腐女子の心理と行動を考察していくものである」(「まえがき」より) 「腐女子」とは何者なのか? オタクとはどう違うのか? 大学生1万人以上の統計調査をもとに、心理学の方法論でその客観的な姿を描き出す若者文化・サブカルチャー研究。

 こういう系は面白さ的な意味で当たり外れデカいんですが、さて。

ロザリー・L・コリー『高山宏セレクション〈異貌の人文学〉 シェイクスピアの生ける芸術』白水社

シェイクスピアの生ける芸術 (高山宏セレクション〈異貌の人文学〉)

シェイクスピアの生ける芸術 (高山宏セレクション〈異貌の人文学〉)

英国ルネサンス最大の作家シェイクスピアの豊饒な文学世界を驚異的な博識と綿密な読解で様々な角度から解き明かした名著、待望の邦訳。

 没後400周年記念ということで各所で地味にシェイクスピア祭りが盛り上がっております。河合先生の『シェイクスピア大図鑑』も要チェキ。

中島隆信『高校野球の経済学』東洋経済新報社

高校野球の経済学

高校野球の経済学

「本書の目的は、高校スポーツの一つに過ぎない高校野球が100年の長きにわたって続いてきた理由について、経済学的思考法を用いて体系的に説明することである。」(本書「はじめに」より)

こういう系も当たり外れデカイんですが、さて。

フランコモレッティ『遠読 〈世界文学システム〉への挑戦』みすず書房

遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

西洋を中心とする文学研究/比較文学ディシプリンが通用しえない時代に、
比較文学モレッティが「文学史すべてに対する目の向けかたの変更を目指」して着手したのが、
コンピューターを駆使して膨大なデータの解析を行い、文学史を自然科学や社会学の理論モデル
(ダーウィンの進化論、ウォーラーステインの世界システム理論)から俯瞰的に分析する「遠読」の手法だ。

みすずから出てるわりにむちゃくちゃ胡散臭そうな理論なんですが、そのあやしさが興味を掻き立てる。

今野真二『ことば遊びの歴史』河出書房新社

なぞなぞ、掛詞、折句、判じ絵、回文、都々逸……面白いことばあそびを紹介しながら、日本語という言語の仕組みを解き明かす。

今泉忠明『動物バトル図鑑 DVDつき』学研プラス

動物バトル図鑑 DVDつき

動物バトル図鑑 DVDつき

最強生物たちのド迫力バトルが図鑑になった!
ディスカバリーチャンネルの豪華90分映像がスゴい!

なんか動画付き動物図鑑がブームなのか、今月はやたらそういう本が出てます。
そのなかでもコンセプトがダイレクトアタックしてくるのがこれ。

鈴村和成『〈フィギュール彩〉三島SM谷崎』彩流社

三島SM谷崎(仮) (フィギュール彩)

三島SM谷崎(仮) (フィギュール彩)

三島のマゾヒズム、谷崎のサディズムノーベル賞候補者としてのライヴァル関係を はじめとする深い因縁関係にありながらも、 これまであまり関係性を論じられることのなかった 三島由紀夫谷崎潤一郎。 谷崎作品に重ねられる三島の実生活、 三島作品と谷崎作品に登場する女性の意外な共通性、 福島次郎との同性愛から解く三島像…… サディストの三島由紀夫、 マゾヒストの谷崎潤一郎のイメージを覆す新たな文学論。 S(サディズム)とM(マゾヒズム)の視点から、 文面下に隠された二人の真性を暴き出す!

なかなかどうしてゲスい感じの切り口ですが、ちゃんとした文学者の本です。

永井義男『江戸の売春』河出書房新社

江戸の売春

江戸の売春

吉原、江戸四宿(品川、新宿、千住、板橋)から、岡場所、夜鷹、舟饅頭、比丘尼まで、江戸の性愛の実態。図版多数。

『江戸の糞尿学』『江戸の下半身事情』など下世話な江戸話を多数出版してきた永井先生にようやく時代が追いついてきた。

森達也『オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ』角川文庫

職業=超能力者。ブームは消えても、彼らは消えてはいない。
超常現象、その議論は「信じる・信じない」という水掛け論に終始していた。
不毛な立場を超え、ドキュメンタリー監督がエスパー、超心理学者、陰陽師、メンタリスト等に直撃!!

佐村河内ドキュメンタリー『FAKE』が話題沸騰中の森達也監督のフェイカーインタビュー集が文庫化。
kindle版の値段が単行本版のときのままなのでさっさとアジャストしていただきたい。

橋本道範『再考ふなずしの歴史』サンライズ出版

再考ふなずしの歴史

再考ふなずしの歴史

日本最古のスシと言われているふなずし。でも本当にそうなのかという疑問を解くため、中世・近世のふなずしに関する文献をつぶさに調べた研究者達。それだけでは納得せず、アジアのナレズシ文化圏の論考から、現在のふなずしの漬け方のアンケート調査、ふなずしの成分分析結果まで収録。ふなずしと聞いただけで、あのにおいと味を思い出す人にはたまらない、まるごとふなずしの本。

ふなずしについて考えるだけでも大変そうなのに、再考となればなおさらに大変そう。

TJイングリッシュ『マフィア帝国 ハバナの夜 ランスキー・カストロケネディの時代』さくら舎

マフィア帝国 ハバナの夜 ―ランスキー・カストロ・ケネディの時代

マフィア帝国 ハバナの夜 ―ランスキー・カストロ・ケネディの時代

バティスタ独裁政権下のキューバの首都ハバナは世界有数の享楽の都だった。豪華なカジノホテル、
華麗なショー、一獲千金のギャンブル、赤裸々なセックスと女、流行のラテン音楽を求めて、世界中
から大勢の観光客やセレブが訪れた。それらの〝ビジネス〟を取り仕切ったのが、ランスキー率いる
アメリカマフィアだ。マフィア随一の頭脳派ランスキーは、この地にマフィアの犯罪帝国を打ち立てた。

バティスタを巨額賄賂で取り込む一方、敵対マフィアを暗殺し権力集中をはかるランスキー。だが、
マフィアたちの野望の前に、バティスタ打倒を掲げるカストロの革命軍が現れた--。

ニューヨークタイムズ・ベストセラー! 1959年のキューバ革命の裏にあったマフィアの策動を描く犯罪
ノンフィクション! 有名マフィア多数登場! 衝撃の口絵8ペーシ゛つき! 『ゴッドファーザーII』の真相が
いま明らかに!

ちょっと古い時代の話ですが、アツそう。

鳴沢真也『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』ブルーバックス

宇宙には、こんな星たちが実在している!
フィギュアスケートの選手みたいにイナバウアーしている
☆恒星のくせにバカバカしいほど長い尾を引きずっている
★墨を吐いて自分の姿をくらますタコなやつ
蚊取り線香みたいなやつ
遠距離恋愛のカップルが久しぶりに会ったような盛り上がりのペア
☆盛り上がりすぎてついにくっついてしまったペア
★世界中の天文学者が推理バトルを繰り広げた謎の幽霊星 ほか

変な星集。間口が広そう。

ベルンハルト・ホルストマン『野戦病院ヒトラーに何があったのか 闇の二十八日間、催眠治療とその結果』

野戦病院でヒトラーに何があったのか: 闇の二十八日間、催眠治療とその結果

野戦病院でヒトラーに何があったのか: 闇の二十八日間、催眠治療とその結果

ヒトラーは1918 年10月第一次大戦末期ベルギー戦線で毒ガス攻撃に遭い失明し、ドイツ東部のパーゼヴァルク野戦病院に収容される。そこで精神医学の権威エドムント・フォルスター教授に催眠治療を施され回復した。
戦争が終わりミュンヘンに現れたヒトラーは以前の「卑屈で目立たない」男ではなく、異様な目の光を持った政治家・大衆煽動者に変貌していた。
パーゼヴァルクの28日間に何があったのか。独裁者を誕生させた決定的瞬間に光を当て、これまで多くの歴史書が見逃してきた20 世紀最大のミステリーを解き明かす。

一ヶ月に一冊はある、ガチそうな精神医学ノンフィクション枠。

長澤均『ポルノ・ムービーの映像美学 エディソンからアンドリュー・ブレイクまで 視線と扇情の文化史』彩流社

ポルノ・ムービーの誕生から、倫理コードとの知られざる攻防、
いつどこでどのように公的に認められ、
映画史のなかで発展していったのか?
「視線(まなざし)」と「扇情」をキーワードに
その光芒史を体系化する野心作!

なかなか網羅的な研究がなさそうな分野だけに期待も高い。

小山友介『日本デジタルゲーム産業史 ファミコン以前からスマホゲームまで』人文書院

黎明期から現在まで40年におよぶ、日本におけるデジタルゲーム産業の興亡を描き出した画期的通史。アーケードやPCも含む包括的な記述で、高い資料的価値をもつとともに読み物としても成立させた、ビジネスマン・研究者必読の書。

バーニー・サンダースバーニー・サンダース自伝』大月書店

バーニー・サンダース自伝

バーニー・サンダース自伝

アメリカ大統領選挙で快進撃!
庶民や弱者に味方し、大胆な経済政策と政治改革を掲げて全米の若者を夢中にさせているバーニー・サンダース
草の根の民主主義にこだわり、無所属をつらぬいてきた「民主的社会主義者」のユニークな政治家人生を記した自伝。
推薦 荻上チキさん(評論家・「シノドス」編集長)

 結局ヒラリーに負けちゃいましたが、一躍日本でも名をあげたサンダースさんの伝記です。

長谷川裕也『靴磨きの本』亜紀書房

靴磨きの本

靴磨きの本

磨きの基本からトラブル対処まで、靴磨き専門店・Brift H代表 長谷川裕也が教える靴磨きのA to Z

靴磨き指南本自体はそんなにめずらしいもんでもないけれど、「靴磨き界のホープ・長谷川裕也氏」という肩書に何か強い「力」を感じる。

トマス・ペン『冬の王 (仮) ヘンリー七世と黎明のテューダー王朝』彩流社

冬の王 (仮): ヘンリー七世と黎明のテューダー王朝

冬の王 (仮): ヘンリー七世と黎明のテューダー王朝

野望! 権謀術数! 愛と憎しみ、欲望と策謀が渦巻く激動の時代を制した イギリス・テューダー王朝創始者ヘンリー七世の謎めいた生涯! イギリス薔薇戦争(1455-85)を制し、 相争った白薔薇(ヨーク家)と赤薔薇(ランカスター家)を和解させて王座に登極、 国内に安定をもたらしたテューダー朝創始者ヘンリー七世。 中世的国家からの脱却、イギリスという国家の基盤作りなど歴史的偉業をなしながら、 シェイクスピア戯曲でも有名なリチャード三世とヘンリー八世(カリスマ的大悪党! ?)の 時代に挟まれ、これまで謎に包まれた人物とされてきた。 春に戴冠しイギリスを花開かせたヘンリー八世に先行し 「冬の王」とされる彼のミステリアスな性格、スリリングな生涯を新事実もまじえて明らかに! イギリスで発表時に、各メディア(デイリー・テレグラフ、ガーディアン、サンデー・テレグラフサンデー・タイムズ、タイムズ文芸附録、ファイナンシャル・タイムズ、BBCヒストリー)が 「今年の本(ブック・オブ・ザ・イヤー)」(2011 年)に選出した話題の書!

 ブックオブザイヤーという言葉に弱い。
 彩流社の本に「(仮)」ってついてるとちゃんと予定通り出るか不安なんですけれども。

アダム・ハート=デイヴィス『世界の歴史大図鑑 増補改訂版』河出書房新社

世界の歴史 大図鑑[増補改訂版]

世界の歴史 大図鑑[増補改訂版]

人類全史が一冊に収まったオールカラー大図鑑。混迷の現代世界にいる私たちは「歴史」から多くを学びとれる。2007年以降の世界の出来事を含め、全項目を増補・大改訂した決定版!

15000円で人類史が把握できるんなら安い買い物じゃないでしょうか。

エドワード・O・ウィルソン『ヒトはどこまで進化するのか』亜紀書房

ヒトはどこまで進化するのか

ヒトはどこまで進化するのか

脳の増大とともに社会性を発達させ、地球を支配してきた人類はどこへ向かうのか。
ピューリッツァー賞を2度受賞した生物学の巨人が、社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「なぜ人間が存在するのか」の謎に挑む。
2014年度「全米図書賞」最終候補作品!

全米図書賞というワードに弱い。似たようなテーマの本が月初めにも出ていた気がする。

モーテン・ストーム『イスラム過激派二重スパイ』亜紀書房

テロ組織の内部事情を最も知る男によるスパイ活動の全貌
デンマーク生まれの鬱屈を抱えた白人青年は、偶然出会ったアッラーの教えに救いを見出し、イスラム過激派に傾倒していくが、やがて民間人の殺害を肯定するジハード主義への拭えぬ違和感から、その「大義」に疑問を抱いて棄教。
その後、情報機関の接触を受け、CIAやイギリス、デンマークのスパイとなり、テロとの戦いの最前線に立つ。過激派の大物たちとの交流、危険きわまりない砂漠での暗殺作戦、情報機関の暗躍、裏切り。スパイ活動の内幕と波乱万丈の体験を赤裸々に語る。

亜紀書房今月の本命。日本でも傭兵として参戦した人の体験記が出てちょっと話題になりましたが、こちらはどっぷりと内部に入ってしかも二重スパイまでやった人の話。

2016年6月の新刊チェックリスト

もう文庫落ちとか復刊で区別してくのめんどくさい


[小説]
森下雨村『白骨の処女』河出文庫
スティーヴン・ミルハウザーエドウィン・マルハウス』河出文庫
デボラ・インストール『ロボット・イン・ザ・ガーデン』小学館
平石貴樹編『アメリカ短編ベスト10』松柏社
チャールズ・ブコウスキー『パルプ』ちくま文庫
蓮實重彦『伯爵夫人』新潮社
エドワード・D・ホック『怪盗ニック全仕事3』創元推理文庫
コードウェイナー・スミス『〈人類補完機構シリーズ全短編2〉アルファ・ラルファ大通り』ハヤカワ文庫SF
ジーモン・ウルバン『プランD』早川書房*1
ストラパローラ『愉しき夜 ヨーロッパ最古の昔話集』*2平凡社
辻原登『寂しい丘で狩りをする』講談社文庫
奥泉光『ビビビ・ビ・バップ』講談社
マキシーン・ホン・キングストン『〈村上柴田翻訳堂〉チャイナ・メン』新潮社
リディア・デイヴィス『分解する』作品社
『明治深刻悲惨小説集』講談社文芸文庫
古井由吉『白闇淵』講談社文芸文庫
『新編・日本幻想文学集成 第1巻』国書刊行会
ジャック・ヴァンス『宇宙探偵マグナス・リドルフ』国書刊行会
ヴォルテールカンディード晶文社
ティーヴ・ハミルトン『ニック・メイソンの第二の人生』角川文庫
松浦寿輝『BB/PP』*3講談社
江戸川乱歩江戸川乱歩名作選』新潮文庫
小林泰三『クララ殺し』東京創元社
大森望日下三蔵編『アステロイド・ツリーの彼方へ』創元SF文庫
平山夢明『ヤギより上、猿より下』文藝春秋
ハビエル・マリアス『執着』*4東京創元社
キプリング田口俊樹訳)『ジャングルブック新潮文庫
J・M・クッツェー『イエスの幼子時代』早川書房
ケン・リュウ『蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二』ハヤカワ銀背
獅子文六『自由学校』ちくま文庫



[小説以外]
野坂昭如『男の詫び状』*5文藝春秋
西山智則『恐怖の表象 映画/文学における〈竜殺し〉の文化史』彩流社
西山隆行『移民大国アメリカ』ちくま新書
是枝裕和『映画を撮りながら考えたこと』ミシマ社
池上英洋他『美少年美術史』ちくま学芸文庫
猪木武徳『増補 学校と工場 ニ十世紀日本の人的資源』ちくま学芸文庫
今尾恵介『日本地図のたのしみ』ちくま文庫*6
和田直己他『バスク料理大全』誠文堂新光社
旧制高校の校章と旗 』えにし書房
ジャンポール・ロベルト他『鋼橋 鋼橋および合成橋の概念と設計』*7鹿島出版会
ニクラス・ルーマン『〈ウニベルシタス叢書〉 社会の宗教』法政大学出版局
ジャック・デリダ『〈ジャック・デリダ講義録〉獣と主権者Ⅱ』白水社
東禹彦『爪 改訂第2版』*8金原出版
山岡重行『腐女子の心理学 彼女たちはなぜBL(男性同性愛)を好むのか?』*9福村出版
佐藤優『世界インテリジェンス事件史』光文社
フィリップ・ボール『枝分かれ 自然が創り出す美しいパターン3』ハヤカワ文庫NF
春日太一『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』文春文庫
キャサリンモンゴメリー『ドクターズ・ストーリーズ
―― 医学の知の物語的構造』*10新曜社
ロザリー・L・コリー『高山宏セレクション〈異貌の人文学〉 シェイクスピアの生ける芸術』白水社
河合祥一郎シェイクスピア大図鑑』三省堂
中島隆信『高校野球の経済学』東洋経済新報社
EHシャイン『企業文化 改訂版 ダイバーシティと文化の仕組み』白桃書房
『よくわかる高齢者心理学』ミネルヴァ書房
『マンガ・アニメにみる日本文化』文京学院大学総合研究所
末広謙『医療の日本史』二瓶社
『日本懐かし文房具大全』辰巳出版
北村雄一他『絵でわかる古生物学』講談社
アルバート・アインシュタインフロイト『人はなぜ戦争するのか』講談社学術文庫
フランコモレッティ『遠読 〈世界文学システム〉への挑戦』*11みすず書房
岩本巌『〈フィギュール彩〉現代アメリカ文学講義 』彩流社
谷川譲『明治前期の教育・教化・仏教【オンデマンド版】 』思文閣出版
ジャン=ジャック・ルソー『人間不平等起源論 付「戦争法原理」』講談社学術文庫
杜甫全詩訳注(一)』講談社学術文庫
今泉忠明『動物バトル図鑑 DVDつき』*12学研プラス
今野真二『ことば遊びの歴史』河出書房新社
庄子大亮『世界を読み解くためのギリシアローマ神話入門』河出書房新社
松岡慧祐『グーグルマップの社会学 ググられる地図の正体』光文社
ジャンナ・レヴィン『重力波は歌う』早川書房
飯田泰子『江戸落語図鑑』芙蓉書房出版
鈴村和成『〈フィギュール彩〉三島SM谷崎』*13彩流社
リース恵実他『ビール語辞典 ビールにまつわる言葉をイラストと豆知識でごくっと読み解く』誠文堂新光社
宮原辰夫『インド・イスラーム王朝の物語とその建築物 デリー・スルターン朝からムガル帝国までの500年の歴史をたどる』春風社
『海外文学 新進作家事典 」日外アソシエーツ
『翻訳小説全情報 2013-2015』日外アソシエーツ
臺丸谷政志『日本刀の科学』サイエンス・アイ新書
山本芳美『イレズミと日本人』平凡社新書
永井義男『江戸の売春』河出書房新社
鈴木敏夫ジブリの仲間たち』新潮新書
中島英博『〈シリーズ 大学の教授法1〉授業設計』玉川大学出版部
倉本昭『〈日本文化キャラクター図鑑〉妖怪 ―異界からのことづて!―』玉川大学出版部
森昭彦『身近にある毒植物たち』サイエンス・アイ新書
C・M・シュルツ『SNOOPY COMIC  ALL CoLOR 70’s』角川文庫
『ロングセラーパッケージ大全』日経BP
森達也『オカルト 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ』*14角川文庫
ジョン・マルコフ『人工知能は敵か味方か パートナー、主人、奴隷――人店と機械の関係を決める転換点 』日経BP
『信仰の歴史 キリスト教の伝播と受容』西南学院大学博物館
橋本道範『再考ふなずしの歴史』サンライズ出版
TJイングリッシュ『マフィア帝国 ハバナの夜 ランスキー・カストロケネディの時代』さくら舎
小田部雄次大元帥と皇族軍人 大正・昭和編』吉川弘文館
ハンス-ウルリッヒ・シュミンケ『新装版 火山学 Ⅰ火山と地球のダイナミクス古今書院
ヴァレリー・ハンセン『図説シルクロード文化史』原書房
『The Art of ズートピア
小林幸雄『図説イングランド海軍の歴史』原書房
マーク・ノーネス他『日本映画研究へのガイドブック Research Guide to Japanese Film Studies』ゆまに書房
松本佐保『熱狂する「神の国アメリカ 大統領とキリスト教』文春新書
『教養のドイツ現代史』ミネルヴァ書房
町田忍『〈シリーズ・ニッポン再発見〉銭湯』ミネルヴァ書房
鳴沢真也『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』ブルーバックス
ベルンハルト・ホルストマン『野戦病院ヒトラーに何があったのか 闇の二十八日間、催眠治療とその結果』
乗松優『ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交*15忘羊社
ギャビン・ランバート他『ジョージ・キューカー、映画を語る』国書刊行会
長澤均『ポルノ・ムービーの映像美学 エディソンからアンドリュー・ブレイクまで 視線と扇情の文化史』*16彩流社
エマニュエル・トッド『家族システムの起源  上・下』藤原書店
ケネス・フランプトン『現代建築入門 』青土社
吉田敦彦『ギリシァ神話と人間 』青土社
末延芳晴『夏目金之助 ロンドンに狂せり』青土社
藤野寛『「承認」の哲学 他者に認められるとはどういうことか』青土社
シッダールタ・ムカジー『がん‐4000年の歴史‐ 上・下』ハヤカワ文庫NF
ニコラス・ローズ『魂を統治する 私的な自己の形成』*17以文社
『〈講談社の動く図鑑MOVE〉危険生物』*18講談社
蛭川久康『評伝 ウィリアム・モリス平凡社
拓徹『インド人の謎』星海社新書
小林康夫表象文化論講義 絵画の冒険』東京大学出版会
宮田律『オリエント世界はなぜ崩壊したか 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智』新潮選書
小山友介『日本デジタルゲーム産業史 ファミコン以前からスマホゲームまで』人文書院
ノエル・キングズバリ『150の樹木百科図鑑』原書房
バーニー・サンダースバーニー・サンダース自伝』大月書店
小川徹他『人物でたどる日本の図書館の歴史』青弓社
ハーバーマス『真理と正当化 哲学論文集』法政大学出版局
エイドリアン・ゴールズワージーアントニウスクレオパトラ 上下』白水社*19
尾崎名津子『織田作之助論 〈大阪〉表象という戦略』和泉書院
小松貴『虫のすみか―生きざまは巣にあらわれる』ベレ出版
長谷川裕也『靴磨きの本』亜紀書房
ジョセフ・アルバース『配色の設計 色の知覚と相互作用』ビー・エヌ・エヌ新社
遠藤まめた『先生と親のための LGBTガイド もしあなたがカミングアウトされたなら』合同出版
岩本憲児『「時代映画」の誕生 講談・小説・剣劇から時代劇へ』吉川弘文館
トマス・ペン『冬の王 (仮) ヘンリー七世と黎明のテューダー王朝』*20彩流社
『[ケンブリッジ版]カナダ文学史(仮)』彩流社
小野俊太郎ウルトラQの精神史(仮) 』彩流社
『〈文藝別冊〉山上たつひこ 漫画家生活50周年記念号』河出書房新社
猿渡敏郎編『生きざまの魚類学 魚の一生を科学する』東海大学出版部
山口遼『ジュエリーの世界史』新潮文庫
イアン・ミラー『水の歴史』原書房
今泉忠明『強い!速い!大きい!世界の生物 №1事典 』池田書店
アダム・ハート=デイヴィス『世界の歴史大図鑑 増補改訂版』河出書房新社
エドワード・O・ウィルソン『ヒトはどこまで進化するのか』*21亜紀書房
モーテン・ストーム『イスラム過激派二重スパイ』*22亜紀書房

*1:統合されず分裂したまま今世紀を迎えたドイツ。東ベルリン郊外で西側出身の教授が殺された。その手口は廃止されたはずの秘密警察のもの。東西合同で捜査にあたる刑事の前に立ちはだかるものは?

*2:仏のペロー、独のグリムと繫がるヨーロッパ最古の童話集。シンデレラや眠り姫の類話を収めたバジーレの先駆となる伊の古典、初訳。

*3:この女ならおれは愛せるかもしれない──人工知能搭載の最上級の“ヒト型擬體“を余生の伴侶として手にいれた、現代の青髭公を描く衝撃の表題作他、またいとこの姉妹と過ごした12歳の夏の夜のひとときを回想する『石蹴り』、病に倒れた旧友を見舞い「記憶」の意味について語り合う『手摺りを伝って』 など、魅惑の9篇を収録する芥川賞作家の傑作小説集。

*4:30代の編集者マリアが、毎朝カフェで見る仲のよい夫婦。その夫がホームレスにメッタ刺しにされて死亡。その後、親しくなった未亡人から、夫の親友だったという男を紹介されるが、未亡人仲の良いその男とマリアは関係を持つように……。ある日男の部屋でマリアは、客と男の驚くべき会話を耳にする!  事件は通り魔殺人ではなかったのか? 三角関係の精算? それとも嘱託殺人? 愛とは? 人間とは? 読者を知的妄想に引き寄せる。ミステリ仕立ての愛をめぐる考察。

*5:瀬戸内寂聴とかとの往復書簡

*6:地図記号の見方や古地図の味わい等、マニアならではの楽しみ方も、初心者向けにわかりやすく紹介。「机上旅行」を楽しむための地図「鑑賞」入門。

*7:橋の概要、専門用語、鋼橋の歴史、鋼橋と合成橋の基本設計、架設プロセスと方法、材料選択、品質、構造部材の解析と設計、道路橋の設計原理、荷重作用、構造安全性と使用性の照査、鉄道橋・歩道橋・アーチ橋に特有な考え方や挙動、計算や設計のステップ、等が理解できる。

*8:爪の基礎的な知見、ならびに現在の爪疾患に関する臨床的知見・治療法をまとめたロングセラーテキストの改訂版ついに刊行! 50年にわたり爪疾患の原因や治療法に関する研究を行う爪のスペシャリストの決定版。陥入爪・巻き爪に対する多くの治療法の登場,治療可能となった厚硬爪や爪甲鉤彎症についても追加し、本邦美容業界のジェルネイルの普及もふまえて解説・文献の追加を行った。QOL の改善に役立つ、関係者必携の書。

*9:腐女子」とは何者なのか? オタクとはどう違うのか? 大学生1万人以上の統計調査をもとに、心理学の方法論でその客観的な姿を描く若者文化・サブカルチャー研究。

*10:ながらく医学は、疾患を治療する科学だと考えられてきました。しかし、一度でも重い病気を経験した人ならわかるように、医学はそれにとどまるものではありません。人間の病いに関する知識とケアに深く関与する実践であるという認識が、ますます高まっています。このような動向は、医学における物語の重視という形で現れてきています。それは、医者からみた疾患の物語であり、また、疾患を病む患者の物語です。医学の場では、複数の物語が輻輳します。本書はこのような医学における物語を重視する流れを決定づけることとなった本で、久しく翻訳が俟たれていました。医師や研修医や医学生たちに新しい視点を提供し、医学教育、ひいては医学そのものを変容させる力をもつ本です。

*11:テクノロジーや流通の革命・発達により世界がネットワーク化する今日、ごく少数(世界で刊行される小説の1%にも満たない)の「正典(カノン)」を「精読」するだけで「世界文学」は説明できるのか?西洋を中心とする文学研究/比較文学ディシプリンが通用しえない時代に、比較文学モレッティが「文学史すべてに対する目の向けかたの変更を目指」して着手したのが、コンピューターを駆使して膨大なデータの解析を行い、文学史を自然科学や社会学の理論モデル(ダーウィンの進化論、ウォーラーステイン世界システム理論)から俯瞰的に分析する「遠読」の手法だ。

*12:ダイオウイカマッコウクジラ、ライオン対スイギュウなど、約70種類の生きものたちの実際に起きるバトル(戦い)を紹介。17本の戦いをおさめたディスカバリーチャンネル制作の映像とともに、狩るものと狩られるものとの壮絶な戦いのひみに迫る!

*13:サディストの三島由紀夫、マゾヒストの谷崎潤一郎のイメージを覆す新たな文学論。

*14:不毛な立場を超え、ドキュメンタリー監督がエスパー、超心理学者、陰陽師、メンタリスト等に直撃!!

*15:テレビ史上最高視聴率96%!鉄道王小林一三実弟にして「聖地」後楽園を率いた国粋主義者、稀代のフィリピン人興行師と共に暗躍した裏社会の顔役、キリスト者として平和の架け橋となった東洋王者、メディア王・正力松太郎、そして昭和の妖怪・岸信介…関係者の証言や資料をもとに、大戦中100万人以上が犠牲となったフィリピンとの国交回復をめぐる葛藤と交流の軌跡を描く。復興期の日本を熱狂させたボクシング興行に、見果てぬアジアへの夢を託して集った男達の実像に迫る、もうひとつの昭和史。

*16:ポルノ・ムービーの誕生から、倫理コードとの知られざる攻防、いつどこでどのように公的に認められ、映画史のなかで発展していったのか?「視線(まなざし)」と「扇情」をキーワードにその光芒史を体系化する野心作!

*17:20世紀の心理学的諸科学に代表される「ヒューマン・テクノロジー」は、戦時下の軍隊と市民、工場や職場の労働者、子どもの発達と家族関係、心理療法の流行を通じ、統治可能な「心=魂」を持つ主体を形成してきた。「心的なもの」の科学がいかに主体形成を促し、その統治に寄与してきたかを暴く、統治と心理をめぐる現代社会の分析。

*18:肉食獣やサメはもちろん、毒ヘビ、毒ガエル、ワニ、怪魚、猛禽類…etc。選りすぐりの危険生物を、大きな写真とイラストで一挙紹介!『ライオンvs.トラ』『ホホジロザメvs.シャ』など、最強生物のバトルも大迫力のイラストで再現しています。

*19:アントニウスは名将と言えるのか。クレオパトラはローマに反旗を翻したのか。軍事史の専門家による、通説をくつがえす新しい評伝。

*20:イギリスで発表時に、各メディア(デイリー・テレグラフ、ガーディアン、サンデー・テレグラフサンデー・タイムズ、タイムズ文芸附録、ファイナンシャル・タイムズ、BBCヒストリー)が「今年の本(ブック・オブ・ザ・イヤー)」(2011 年)に選出した話題の書!

*21:脳の増大とともに社会性を発達させ、地球を支配してきた人類はどこへ向かうのか。ピューリッツァー賞を2度受賞した生物学の巨人が、社会性昆虫の生態、フェロモンによるコミュニケーション、極限環境に棲む微生物から、地球外生命体の可能性、宗教の弊害、意識と自由意志の先端研究までを論じ、「なぜ人間が存在するのか」の謎に挑む。2014年度「全米図書賞」最終候補作品!

*22:デンマーク生まれの鬱屈を抱えた白人青年は、偶然出会ったアッラーの教えに救いを見出し、イスラム過激派に傾倒していくが、やがて民間人の殺害を肯定するジハード主義への拭えぬ違和感から、その「大義」に疑問を抱いて棄教。その後、情報機関の接触を受け、CIAやイギリス、デンマークのスパイとなり、テロとの戦いの最前線に立つ。過激派の大物たちとの交流、危険きわまりない砂漠での暗殺作戦、情報機関の暗躍、裏切り。スパイ活動の内幕と波乱万丈の体験を赤裸々に語る。