名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


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2018年上半期の新作映画の思い出とベスト20作

 対象作品数はだいたい90ちょっと。
 頭がぼんやりするのでコメントは短く。

上半期ベスト2

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2『リズと青い鳥』(山田尚子監督、日)


『リズと青い鳥』本予告 60秒ver.


 山田尚子はハッピーエンドや幸福の定義を更新した。

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3『パディントン2』(ポール・キング監督、英)


映画『パディントン2』予告篇


 続編というのはかくあるべきです。クマ映画オブジイヤー

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5『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(ヨルゴス・ランティモス監督、英・アイルランド


映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』予告編


 ヒッチコックの映画自体はそんな好きでも嫌いでもないんですが、ヒッチコキアンな映画は好きなものが多いです。

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6『ビューティフル・デイ』(リン・ラムジー監督、米)「


You Were Never Really Here Movie Clip - Alphabet (2018) | Movieclips Coming Soon


 ホアキン・フェニックスが児童売春してるやつをボコボコにしにいったら大変な目にあう映画。『タクシー・ドライバー』や『レオン』に対する批評的な側面もあり(まあ『タクシー・ドライバー』も元々ヒーロー映画ではないんですけど)、そこがラストの絵面のすさまじさに直結しています。


7『犬猿』(吉田恵輔監督、日)


映画『犬猿』予告編

 兄弟姉妹が互いに甘えあい憎しみ合う映画。クライマックスでくどくなりすぎるきらいはあるんですが、とにかく細かなイヤ描写が最高にうまい。


8『ぼくの名前はズッキーニ』(クロード・バラス監督、仏)


「ぼくの名前はズッキーニ」予告編


 孤児院もの。「なぜアニメなのか」「なぜストップモーションなのか」について常に自問しているのが伺えます。孤児院舞台でいえば『きっと、いい日が待っている』という北欧映画もよかったです。しかし、今年は『万引き家族』といい『ワンダー 君は太陽』といい『フロリダ・プロジェクト』といい、子ども映画が元気ですね。


9『ペンタゴン・ペーパーズ』(スティーヴン・スピルバーグ監督、米)


メリル・ストリープ、トム・ハンクス主演!『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』予告編


 なぜこんな地味な話(政治的には大事だけど)をウルトラエキサイティングに撮れるのか。カメラがみょんみょん動く。


10『君の名前で僕を呼んで』(ルカ・グァダニーノ監督、米)


映画『君の名前で僕を呼んで』日本語字幕付き海外版オリジナル予告編

 リズムの点で肌に合わないところがちょっとあったけれど、この圧倒的な夏感には抗いがたい。

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11『恋は雨上がりのように』(永井聡監督、日)

 ラストの「フロントメモリー」への入り方が最高。『帝一の國』の永井聡監督を信じてよかった。広告業界出身という出自の意地汚さの割には、演出におもいがけない品性があるのが彼の美点です。


12『30年後の同窓会』(リチャード・リンクレイター監督、米)

 三人のおじいちゃんたちのロードムーヴィ。キャラの愉しさがほぼダイレクトに観客にも伝わってくる稀有な作品。リンクレイターはどんどん洗練されていく。


13『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(マイケル・ショウォルター監督、米)

 ジャド・アパトーってあんまり好きじゃないんだけどこれはいいなあ、と思っていたら別の監督でした。大筋では難病ものといえるんだけど、安易にお涙頂戴に流れないでいつつも暖かい話にもっていく巧さがあります。実話なんですが。個人的には『シリコン・バレー』のクメイル・ナンジアニが出世していてよかった。『セントラル・インテリジェンス』では超脇役だったんですけどね。


14『嘘八百』(武正晴監督、日)

 
 『30年後の同窓会』が今年最高のアメリカブロマンス映画なら、こっちは今年最高の日本ブロマンス映画だと思います。コンゲームものとしてはまあナニなんですけど。


15『ピーターラビット』(ウィル・グラック監督、米)

 喋る動物映画における「喋れること」というギミックを説話レベルで利用した点でエポックだったと思います。

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16『パティ・ケイク$』(ジェレミー・ジャスパー監督、米)

 クソ田舎のデブい女の子がラップでサクセスしようと友人のオタク、林に住む中二病、おばあちゃんなどを集めたグループを作ってがんばる映画。「サンプリング」という要素を物語にいちいちエモく取り入れており、ヒップホップ映画としては一番好きかもしれない。


17『ミスミソウ』(内藤瑛亮監督、日)

 
 百合。


18『犬ヶ島』(ウェス・アンダーソン監督、米)

 ウェス・アンダーソンストップモーション、犬。十分おもしろいんだけれども、好きな要素の満漢全席なのだからもっと良くなっててもいいだろ、という思いがどうしてもぬぐいきれない。

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19『ボストン ストロング』(デヴィッド・ゴードン・グリーン監督、米)

 たまたま元恋人が参加するボストン・マラソンに赴いたところ、テロに巻き込まれて両脚を失い、気がついたら「ヒーロー」として事件に屈さないボストン市民の象徴に祭り上げられてしまったダメ男の奮闘記。ほんとうに特別なところが何一つない一小市民が、その自己認識と世間からの視線のズレとどう折り合っていくか、という視点から誠実に作られています。こういう役をやらせたらジェイク・ギレンホールは超一級。


20『ブリグズビー・ベア』(デイヴ・マッカリー監督、米)

 奇抜な設定もさることながらプロデューサーのミラー&ロードファン、そして『サタデー・ナイト・ライブ』ファンとしては見逃せなかった。ここまでオタクの人生を肯定してくれる映画だとは思いませんでしたね。肯定されたいオタクは観ましょう。



観たドキュメンタリー映画ぜんぶ

☆『私はあなたのニグロではない』(ラウル・ペック監督、米)


I Am Not Your Negro Movie CLIP - Future of America (2017) - Documentary


 とにかくアレック・ボールドウィンの文章とサミュエル・L・ジャクソンの語りがいい意味で重い。ここ数年、黒人映画は絶えず良作話題作を連発してきたわけですけれど、このところはどんどんパーソナルかつアクチュアルになっているように思います。キャスリン・ビグローが撮った『デトロイト』にすらその傾向が反映されているのではないか。



 『レイチェル:黒人と名乗った女性』(ローラ・ブラウンソン監督、米)

  歪んだ家庭で育てられた結果、歪んだ個性を身につけてしまった人間の悲劇。



 オデッサ作戦』(ティラー・ラッセル監督、米)
  ソ連崩壊直後のロシアで潜水艦を買い付けてコロンビアの麻薬カルテルに売ろうとした男の実話。とにかくうさんくさい人間しか出てこない。むちゃくちゃ時代のむちゃくちゃなエピソードばかりです。



 『テイク・ユア・ピル:スマートドラッグの真実』(アリソン・クレイマン監督、米)

  アメリカの大学や一般社会になぜスマートドラッグが蔓延してしまったのかを考えるドキュメンタリー。「価値のある人間にならなければならない」という強迫観念は近代以降すべての国家に通じるんだろうけど、ことアメリカにおいてはアメリカン・ドリームの裏返しなんだな、という意味で『ステロイド合衆国』(クリストファー・ベル監督)を思い出します。



 猫が教えてくれたこと』(ジェイダ・トルン監督、トルコ)

  イスタンブールに住むネコと彼らにまつわる人間たちを追ったドキュメンタリー。ネコを介して都市の在り方なんかも透けてくるわけですが、そんなことは放っておいてだいたいの人はネコをめでるとよい。



 『悪魔祓い、聖なる儀式』(フェデリカ・ディ・ジャコモ監督、イタリア)
  地元で悪魔祓い案件を粛々と処理しているカトリック神父さんのドキュメンタリー。悪魔憑きというものは精神病や生活に追い詰められたすえの癇癪など、近代以前の医学ではケアできなかったものだったんだなあ、とわかりますが、おそろしいのはそうしたトラブルが依然として悪魔憑きとして愁訴されつづけ、どころか案件としては増加しつつあるというのが現代の不思議。



 『サファリ』(ウルリッヒザイドル監督、オーストリア

  人間の放つ言葉の寒々しさにおいてはトップクラスで、これを観ると言葉などというものは空虚であるどころか害悪ですらないかと思えてきます。



 『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』(ホセ・ルイス・ロペス=リナレス監督、スペイン&仏)

  みんな大好き『快楽の園』についてのドキュメンタリー。



観たアニメ映画ぜんぶ

☆『リズと青い鳥
 『山村浩二 右目と左目で見る夢』(山村浩二監督、日)
 『犬ヶ島
 『僕の名前はズッキーニ』
 『リメンバー・ミー』(リー・アンクリッチ監督、米)
 『名探偵コナン ゼロの執行者』(立川譲監督、日)
 『ニンジャバットマン』(水崎淳平監督、日)
 『さよならの朝に約束の花をかざろう』(岡田麿里監督、日)
 『ボックストロール』( グラハム・アナブル&アンソニー・スタキ監督、米)
 『ボス・ベイビー』(トム・マクグラス監督、米)


 アニメ映画観てねーなー、と数えてみたら意外と観ていた。『右目と左目で見る夢』を観て初めてノーマン・マクラレンがおもしろいと感じたかもしれません。『リメンバー・ミー』はさすがピクサーの最新作という感じで、外しませんね。『ゼロの執行者』は前半退屈だったんですけれども後半に『ワイルドスピード』化してきて愉しくなりました。ところで公安警察がほとんど白色テロ機関として描かれてますが、大丈夫か? 『ニンジャバットマン』、総じておもしろく観ましたが、中島かずきの熱気のインフレーション芸は映画の尺にはあわないんじゃないかなあ。『さよ朝』については一本あるテーマについて記事を書こうとしました。いつか出すかもしれません。『ボックストロール』、ライカ作品で唯一日本にきてなかったのがソフトスルーとはいえ観られるようになってめでたい。『ボスベイビー』、ハンナ・バーベラ風のルックスを3Dでやる心意気は買いたかった。


姉映画五選

☆『ワンダー 君は太陽』(姉弟)(スティーヴン・チョボスキー監督、米)
 『ファントム・スレッド』(姉弟
 『犬猿』(姉妹)
 『スリー・ビルボード』(姉弟
 『ビリー・リンと永遠の一日』(姉弟)(アン・リー監督、米)

 『ワンダー』と『ファントム・スレッド』の二強ですね。これまでは。『聖なる鹿殺し』も入れていい気もする。


犬映画

☆『犬ヶ島
 『ワンダー 君は太陽
 『リメンバー・ミー
 『エターナル』(イ・ジェヨン監督、韓)
 『キングスマン:ゴールデン・サークル』(マシュー・ヴォーン監督、米)

 『エターナル』と『ワンダー』はエグい系の使い方。下半期に『犬ヶ島』を超える犬映画が果たして現れるのでしょうか?


オリジナル劇中歌・主題歌部門

☆「Mystery of Love」(サフィアン・スティーヴンス、『君の名前で僕を呼んで』)

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 「Never Enough」(ローレン・アラード、『グレイテスト・ショーマン』)

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 「It ain’t Fair」(ザ・ルーツ、『デトロイト』)

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 「山の音」(尾野真千子末井昭、『素敵なダイナマイト・スキャンダル』)

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 「Tuff Love」(『パティ・ケイク$』)