名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


読書、映画、その他。


今年観た映画の歌曲でよかったのを五つあげよう

 インターネット界では各種ベストが発表されます今日このごろ、今年も色んな映画がございましたね。数々の印象的なサントラがございましたね。正直、音楽でも映画でも脳天に直接麻薬成分を注入されるような作品しか嗜まない卑賤な我が身ですが、憚りながら映画の挿入歌や主題歌でこれは、とおもったものを並べてみました。


オリジナルソング、ベスト5

「Boom Clap」(Charli XCX, 『きっと星のせいじゃない』)

 いきなりであれだけれども、観ていない映画の主題歌(hulu で配信されていた『サタデー・ナイト・ライブ』のマーティン・フリーマン回に音楽ゲストとして呼ばれて歌っていたのを聴いた)。だのに、ここ一週間で一番リピートしてる曲かもしれない。そうですよ。こういうキャッチーなのに弱いんですよ。わるいか。以下このように続きます。


なぜか東京バージョンのMVもある。

 ペリー来航以来のアメリカンにとっての義務のように渋谷のスクランブル交差点でグルグルカメラ回すところがスタッフの気概を示していてとてもオリエンタルですね。コメント欄は歌やロケより乳に関する話で持ちきりです。



「Five Hundred Miles」(ジャスティン・ティンバーレイクキャリー・マリガン, 『インサイド・ルーウィン・デーヴィス』)

 本作に出てくる楽曲はどれも50-60年代のフォークに元ネタがあるんですけれども、聴き比べてみるとどれも微妙にモダナイズされている。この曲はBPMがちょっと速くなってんのかな。それでもビーバーじゃない方のジャスティンと恵まれない場末の女専用役者キャリー・マリガンがやさしく語りかけてくるように歌ってくれるので、英語オンチにも歌詞が聞き取りやすい。情感たっぷりにティプトリーJrの短編のような郷愁を喚び起こしてくれます。っていうか、歌うまかったんだな、マリガン。
そんないい曲なのに、本編だと途中で出てきたバーのマスターの「あの女とヤりてえ」という下衆の極み乙女なセリフが挟まれる、ってところもなかなか風情がある(サントラだともちろん削除)。

ILDは当然のことながらどれも曲が良く、他にもhttps://www.youtube.com/watch?v=6WCRAuIcjsc とかhttps://www.youtube.com/watch?v=e-JW1GHbp9oが個人的にライクです。



「Everything is awesome」(ジョー・リー, 『レゴムービー』)

 オープニングの主人公紹介からの世界観解説を流れるようなノリでやってのける。文字通りのドライブ感。時折挟まれるポーズと寸劇が良いスパイスになってますね。というわけで単体で聴いてみるとそこまで響かない。



「After Party」(キース・スタンフィールド、キース・スウィーティ, 『ショート・ターム』)

 なんの変哲もないラップっぽいけど、映画観たあとにこれは泣くでしょう。映画は諸種の問題で家庭におられなくなった子どもたちを一時的に預かっている施設の話なんだけれど、そのなかで一番の年長者である黒人の子(結構強面だけれど飼っている金魚に自己投影をする割と繊細な少年)がラップやってて、まあ正直出来不出来はよくわからないんですが、「あ、魂の底から叫んでるんだな」感が出てていいんですよ。
 気難しいこどもだったすべての人たちに観ていただきたい善良な(皮肉ではない)映画です。



 あと一個なんかな、あったかな。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はオリジナルでもカバーでもないからな。え、そういう縛りだったのって、そういう縛りですよ。しかしでも五つってタイトルに書いちまったしな。だって四はキリが悪いじゃないですか?



「Moon song」(スカーレット・ヨハンソン, 『her 世界にひとつだけの彼女』)

 カレン・Oが歌った原曲の方はアカデミー賞にノミネートされましたね。彼女のウィスパー・ヴォイスも好き(『かいじゅうたちのいるところ』のサントラは名盤)ですが、女犯ソンだかヨハンソンだかのかすれた声で歌われると一発ですよね。いいですよね、かすれダミ声声優。「Bee and Puppycat」の主人公とか。もっと広まって欲しい。日本にも輸入してほしい概念だ。


 これでやっと五つ。あ、忘れてた。アナ雪。

「Love is an Open Door」(クリステン・ベル、サンティーノ・フォンタナ, 『アナと雪の女王』)

 歴代ディズニーミュージカルでもトップクラスのクオリティの曲が揃っているのはいまさら説明されなくてもみなさんにとって真実の愛のように自明なこととは存じますが、レリゴーなどこのミュージカルシーンの快楽に比べれば児戯にもひとしきこと……(by 宗匠)。むしろ、三番手。なんといってもベストはラビズオペンドーーーーーーーーッですよ、倍率ドン。最初のサビが弾けるところでまさにここしかないというコンマ以下の精妙さで扉が開いたときの開放感! 高揚感! これが噂で聞いたことある疾走感! 性急すぎる恋愛の発展具合の説得力をたった二分でバク上げして観客をねじ伏せるこのパワー。やっぱり、ディズニーミュージカルのキモは映像とのシンクロニシティですよ。老舗はドラッグの活用法をわかってる。マジで。
 ちなみに二番手は「for the first time in forever」

ソファーで飛び跳ねるシーンの浮遊感は、ああ、このために俺達はディズニー/ピクサーに貢いできたんだ、と一発で散財を正当化させてくれる。科学はこれのために発展してきた。



 日本映画からもエントリー欲しいですよね。でも『舞妓はレディ』観てないなあ。あ、これがあった。



「Ode to Tokyo Tribe」(染谷将太 as MC SHOW, 『TOKYO TRIBE』)

 開幕から染谷将太があの凶悪なジト目を超カメラ目線に長々とラップしてくれて、それがイントロダクションって、もう最高ですよね。染谷将太の魅力が凝縮されてる。映画自体は長くてだるいけど、耳に心地よいラップがちょくちょく挟まるのでテンションはまあ持続する、するかな?


なんでもありでいいや。

 いまいくつ? 7つくらい? まあ、もういいや。既存曲だろうとなんだろうと。



「Come and get Your Love」(レドボーン, 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)

 ちょうどいい長さの動画がないけど、これ以上なく完璧なオープニング・タイトル・シークエンス。
 もちろん「i want you back」もよかったですよ。「Ain't No Mountain High Enough」もね。でも「Ain't No Mountain High Enough」といえば今年は『早熟のアイオワ』でしょう。



「Ain't No Mountain High Enough」(ジェニファー・ローレンス、ソフィア・ベアリー、クロエ=グレース・モレッツ, 『早熟のアイオワ』)

 もちろん『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のアインノーマウテンハイイナフっぷりもよかったのだけれど、印象ではこちらに軍配が上がります。理由? 動画みりゃわかるよ。三姉妹だぜ? ジェニファー・ローレンスとクログロモレッツだぜ? カラオケだぜ? でも何気に本編で一番好感をもったのは、次女役のソフィア・べアリーでしたね。次女であることに無限の説得力がある。次女の物語だ。



「葦原の輝き」(ジャッキー吉川とザ・ブルー・コメッツ, 『嗤う分身』)

 間違いなく今イギリスで一番の奇才であろうリチャード・アイオアディ。何が変かって、まずドストエフスキー原作全編英語映画の挿入歌に60年代の日本歌謡(坂本九とかザ・ブルー・コメッツとか)を選んだこと。どういう意図があるのかよくわかんないけど、日本語話者からみても充分に珍妙キテレツで得体のしれない雰囲気が醸しだされているのだから、日本語わかんない観客からすればビザールどころの話ではなかっただろう。そういう意味では成功してる。個人的にはあんま好きくない映画だけど。
まあでも、ワシコさんが嗤う映画は良い映画です。



「Everyday」(バディー・ホリー, 『狼は嘘をつく』)

 バディ・ホリーのオールディーズな多幸感のある曲を背景に、ウェス・アンダーソンを彷彿とさせる可憐なカメラワークで愛らしくハゲたおっさんが嬉しそうな微笑みを浮かべながらケーキを作るシーン。おじいちゃんから孫へのプレゼントかな? 違います。地下で椅子に縛り付けて監禁している自分の娘を殺した(と思しき)容疑者のために焼いているのです。よく見たら、何か変なオクスリを混ぜてますね(それを潰すときの表情が一番うれしそう)。
 そうです、キチガイ映画です。観よう。



「君の瞳に恋してる」(ジョン・ロイド・ヤング、『ジャージー・ボーイズ』)

 自分みたいな無知な素人でも知っているような名曲が、最高の編集と最高のタイミングで流れる。それだけで劇場に行ってよかったな、という気にさせられますよね。匠の仕事。



 まあ他にも『シンプル・シモン』や『六歳のボクがオトナになるまで』とかのサントラもよかったですし、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』の気だるさ、『ソウルガールズ』や『たまこラブストーリー』、『FRANK』、『チョコレート・ドーナツ』、『オンリーゴッド』、『ブルージャスミン』などといったところで歌曲の使い方が印象的な映画は数多かったんですけれども、これ以上動画リンク増やすと重くなるのでやめときます。『LIFE!』? ああ、そういうのもあったよね。『アイドルマスター』? ドーム公演の開幕で震えが来ましたね。あとなんかもうひとつアイドルアニメ映画を観た気がする、アイカツじゃないやつ、なぜか脳が思い出すことを拒否するやつ。

良い物もあれば悪いものもある

 最後にワースト挿入歌(っていうかエンディング)いってみましょう。


「Ain't No Mountain High Enough」(マーヴィン・ゲイ、タミー・テレル, 『ブエノスアイレス恋愛事情』)

 世の中には「ain’t No mountain High Enough」映画というジャンルがあるに違いない。
これはその中でも最低のアインノーマウテンハイイナフ映画です。全然低い山ですし、全然狭い川です。
これだけ見たら調子乗った頭の悪いカップルのクソ動画程度なので、そんなに怒るないじゃないかと思われる向きもあるでしょうが、この都市で孤独な魂がシャレオツに惹かれあう的な出来の悪いウォン・カーファイ映画みたいな恋愛模様を二時間えんえん見せられた後にこんなもん脳天気に出されてみたら、そりゃキレますよ。