名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


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飯沢耕太郎編『きのこ文学傑作選』

きのこ文学名作選

きのこ文学名作選

きのこでアンソロジー組んで文学的に何か意義があるのかといえば返答に窮するだろうがそんなものウィネトカやらワイオミングやらでアンソロ出しまくっちゃったSF界隈に比べればあるいは百年文庫なるKAGEROUのプロトタイプで世のアンソロマニアの本棚に進駐してきたポプラ社に比べればまだ何かしらの薫香はただよってくるというものでしかしそれはきのこが焼けるにおいであり僕らは空腹に喰らい尽くされてやがて理性を失う。きのこは狂気の代名詞であるらしいので作家はきのこに怪奇性を持たせようとする。中井英夫だったり高樹のぶ子だったりいしいしんじだったりまあ色々だ。そんな中で加賀乙彦だけはきのこに愛を見出し愛を持ってきのこをほめそやし愛をもって美味なるきのこ描写をだらだら続けたりする。他人がヒクほどの愛情を紙面にぶつけたら、それだけでもう文学なのだと僕は信仰したい。