名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


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ヤングアダルト小説家に転向したアメフト選手と『Ballers/ボウラーズ』の話。

『Ballers』

 現在 Hulu で絶賛配信中のドウェイン・ジョンソン主演『Ballers/ボウラーズ』がおもしろい。
 アメリカン・フットボールの元スター選手が引退後に投資会社の下っ端営業(現役フットボーラー狙い)に身をやつして四苦八苦する30分コメディです。アメフトとか全然知らないんですけどね。

海外ドラマ『Ballers/ボウラーズ』予告編

 NFLといえば、世界のアスリートの年収ランキング上位百人において四大スポーツ(野球、バスケ、アメフト、アイスホッケー)のうち最多である三十人を輩出する花形競技*1であり、平均年俸二百万ドル*2、トッププレイヤーともなれば年千万〜五千万ドルはざらに稼ぐ世界です。

 『Ballers』に出てくる選手たちの生活もめちゃめちゃリッチ。プールやホームシアター付きの豪邸に住み、高級車を駆り、意味もなく象を買ったり、サメを買うための巨大水槽を設置したり、セクシーな美女たちをはべらせてパーティ三昧したりと毎日がお祭り騒ぎです。
 そこへきて、彼らに群がるいわゆる「取り巻き」連中に毎日おこづかいをばらまくようだと、いくら収入があっても足りません。現役時代に五千万ドル稼いだプレーヤーでも、引退するときにはスッカラカンなんてことも珍しくない。


 『Ballers』ではそんなNFLプレーヤーたちの光と影が描かれます。
 主人公のドウェイン・ジョンソンからして、現役時代にそういう無茶な生活をしていたのか、預金口座には2000ドルも残っていないという有様。しかも「ラインバッカーの50%がかかる」*3と言われる脳震盪の後遺症にも悩まされています。*4

 彼の元同僚は金にこそ困っている様子はないものの、車の販売員という退屈な日常に耐え切れません。むなしさから、ついつい行きずりの女との不倫に走ってしまいます。

プロスポーツ選手の第二の人生

 スポーツ選手のセカンドキャリアはたびたび日本でも話題にのぼりますね。
 日本代表歴のある元サッカー選手がメロンパンの移動販売をはじめたりとか、巨人軍の中継ぎエースだった選手が修行してさぬきうどん店を開いたりだとか、200勝を達成したメジャーリーグの大投手がゲーム会社を立ち上げてあっというまに倒産したりだとか、高卒新人のシーズンホームラン記録を樹立したバッターが覚せい剤で捕まったりだとかシャブで捕まったりだとか白い粉で捕まったりだとか。
 ある程度活躍したプレーヤーであれば、コーチやスポーツニュースの解説者を目指すのが日米問わず、どんなスポーツでもポピュラーなようです。


 日本のプロスポーツだと一番高給取りのプロ野球選手でも引退後の生活は安泰とはいかないの現状みたいです。が、アメリカの四大スポーツのレギュラーなら『Ballers』みたいに無駄づかいさえしなければ(一部の選手は蕩尽してさえ)、その後一生働かずとも食うに困りません。

 しかし、問題は金ばかりじゃない。一日一日が火花を散らす刺激的な勝負の連続であった日常から解放されて、ふとオフが日常になってみれば、何をやってみたらいいのかわからない。
 テレビをつければ、つい数カ月前まで自分がプレイしていたはずのフィールドで、顔なじみの友人たちがいきいきと激闘を繰り広げている。なぜ自分は今そこにいないのか。いるべきなのに。いられたはずなのに。それまで属していた社会やシステムから切り離されたときに、ふとおぼえる孤絶感。


 NFLの元選手トレヴァー・プライスは『ニューヨーク・タイムズ』紙に、そうした引退後の生活についての髀肉の嘆めいたエッセイを寄せました。

 愛する現役生活から私は退いた。行きつけレストランの指定席みたいに心地よいスタジアムからも退いた。なにより、NFLの同志愛から引退した。さよならだ。いまや、よそものの気分だ。


 Log In - The New York Times

カエルの冒険ファンタジー小説を書くアメフト選手

 で、そのトレヴァー・プライスの話です。
 身長198センチ、体重130キロの堂々たる体躯の現在四十一歳。

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 若い頃から将来を嘱望され、クレムゾン大とミシガン大を経て1997年にNFLドラフト一位*5デンヴァーブロンコスに入団。そこでディフェンシブ・エンドとして二年目からレギュラーを勝ち取ると、守備の要として1999年と翌2000年のスーパーボウル(要するにアメフトの全米チャンピオンシップ)二連覇に貢献します。その後、移籍先のボルティモア・レイヴンズでもリーグナンバーワンの守備陣を築き上げ、2010年のオフシーズンに引退。
 オールスター・ゲームに相当するプロボウル*6にもキャリアを通じて四度選出されました。立派なスタープレイヤーといっていいでしょう。デンヴァーボルティモアの英雄として、スポーツニュースの解説役に収まる資格は十分あったはずです。


 ところがトレヴァー・プライスは第二の人生に作家の道を選びました。ただの作家ではありません。彼は少年少女向けの、いわゆるヤングアダルト小説を書き始めたのです。
 
 それが先日 Netflix で配信が開始されたアニメ『クリパリ:カエルの戦士』の原作、『Kulipari: Army of Frogs』です。

Kulipari: An Army of Frogs, a Netflix Original Series trailer

 オーストラリア大陸を舞台にアボリジニ文化を反映した、ちょっと個性的なこのファンタジー冒険物語は、2013年に出版されるや話題を呼び、現在までに十万部を売り上げるベストセラーに。すでにモバイルアプリやおもちゃも売れまくっていて、なぜかアンダーアーマーで公式Tシャツまで販売されています。
 アニメのファースト・シーズン十三話放映後には、続編となるコミックが出版される予定だとか。もはや立派なフランチャイズですね。

NFLのスターが小説家になるまで

 私は Netflix で『クリパリ』を知り、後からその原作者であるプライスの存在に行き当たりました。
 彼の経歴を知るにつけ、素朴な疑問が頭をもたげます。

 なぜ、NFLの選手がヤングアダルト作家になったのか。
 もちろん、セカンドキャリアとしてメロンパン屋になろうがメロンパンナちゃんになろうがそれは個人の自由で、ましてやプライスは『Ballers』のドウェイン・ジョンソンと違って現役時代の莫大な年俸の資産運用に成功しているようですから、選ぶだけならなんだって選べたはずです。
 にしてもなぜカエルの話なのか。アメフトから一番遠いところにありそうな、子ども向けファンタジー小説なのか。


 もののインタビューによれば、現役時代の元同僚たちからはこの転身を意外には思われなかったそうです。元来クリエイティブな面があって、プライスもそれを隠さなかったらしい。
 ホントかよ、とまゆにつばのひとつもつけたくなりますが、根拠がなかったわけではありません。
 もともとプライスは現役時代から自前のレコード会社を立ち上げており(現在では手放している模様)、エンタメ産業への志向を示していたのです。
 古巣デンヴァーブロンコスからボルティモアへ移籍した06年ごろから、彼はハリウッドに映画の企画を持ちこみはじめます。ソニー・・ピクチャーズに提案したという「ふしぎな光を浴びた男が、歩く百科事典と化す話」をはじめとした複数の企画をプレゼンしたものの、ハリウッドの知的エリートたちの反応はひややかでした。「脳みその足りないジョックス風情が何をしにきたんだ」とばかりに門前払いを食らわせられます。
 そんな連戦連敗の果てに、唯一生き残った有望そうな企画が『クリパリ』だったのです。フロリダですごした少年時代、姿なきカエルたちの絶え間ない鳴き声に恐怖をおぼえたプライスの体験にインスパイアされたカエルの物語でした。


 当初、プライスは『クリパリ』を映画化するつもりだったそうです。
 が、ハリウッドではどうやら勝ち目がなさそうだ、と悟ったエージェントが小説として出版社に売り込んだことから運命の出目が変わります。
 すぐにテレビアニメ化も決まり、当初の目論見からは外れたもののプライスは「映画にはならんかもしれないが、本とアニメにはなる。すごいじゃないか!」と喜び、執筆にいそしみます。

スーパーボウルを連覇したときを回想して)「あのときのブロンコスには僕以外のクォーターバックもいたし、攻撃陣も活躍した。でも、『クリパリ』は僕だけだ。僕が物語におけるあらゆる決定を下さなきゃいけない。だから、『クリパリ』こそ僕の人生で最高の達成だと言えるわけだ」

Former Raven Trevor Pryce to debut kids series 'Kulipari' on Netflix - Baltimore Sun

 かくして、元アメフト選手によるヤングアダルト・カエル格闘ファンタジー『クリパリ』は世に出たのです。


 元プロスポーツ選手で小説家に転身した成功例となると、まずまっさきに浮かぶのは障害競馬のリーディング・ジョッキーからエドガー賞ミステリ作家へと華麗な変貌を遂げた故ディック・フランシスでしょう。プロスポーツからエンタメ産業へ、というもっと大きな枠で捉えると、俳優として成功した面々が挙げられますが、そういえば、ドウェイン・ジョンソンも元はWWEの名物プロレスラーでしたね。

 プライスがD・フランシスやロック様なみの成功をおさめるかどうかはまだわかりませんが、『クリパリ』の成功を受けてどんどんテレビやコミックの企画が舞い込んでいるようで、夢だったエンタメ産業でのセカンドキャリアを順調に築きつつあるようです。よかったですね。



*1:https://ja.wikipedia.org/wiki/NFL#.E7.B5.8C.E5.96.B6

*2:参考までに日本のプロ野球の平均年俸は約3700万円。http://jpbpa.net/news/?id=1398668941-847877

*3:劇中でジョンソンの妻がいうセリフですが、ギャグではなく、割りとリアルな数字なようです。http://www.afpbb.com/articles/-/3083666

*4:このへんは昨今のNFLで大問題として騒がれているようで、『コンカッション』というウィル・スミス主演の映画にもなりました。原作のノンフィクションはハヤカワ文庫NFから出ています。

*5:全体二十八位

*6:NFLの一チームあたりのシーズン保有登録選手数は53人で、チーム数は32。そのうちプロボウルに選出されるのは88名なので、全体の約0.05%の選手しか出場できないことになる。

映画監督の名前から入るネット配信海外ドラマ入門

 Amazon の本格参入により戦国時代と化した海外ドラマ……。
 タイトルがあまりに多すぎるために興味はあってもどれから入ればいいかわからない、という人も多いはず。

 まあ、マジで何観ていいかわかんない人は⇡これ読めばよい感じですが、それはともかく。

 ドラマ選びに迷ったときに一つのとっかかりとなりうるのが「監督」の名前。
 映画に親しんでいる人なら自分の知ってる映画監督の名前を探してみれば、それがひとつの品質保証となりうるかもしれません。
 しかし人類の約半分が知ってるスコセッシやフィンチャーがプロデュースしたドラマであれば宣伝する側も堂々と「あの有名映画監督プロデュース!」と打ち出せますが、映画ファンなら誰でも知ってる名前でも一般に訴求しないクラスとなると途端にまるまり尻尾、後でこっちから調べて「え? あのドラマ、この監督がやってたの!?」と驚くことも少なくありません。

 というわけで、こっちで勝手にがんばって一覧表を作ってみました。

 映画監督の名前を知らないと使えないリストなので、何が入門だコラというクレームがつくやもしれませんが、そんなことは知るか、俺だって知らない名前がいっぱいいるんだ!!
 抜けも間違いも多いと思います。ご了承ください。



*特に注意書きがない場合、基本的にエグゼクティブ・プロデューサー+第一話監督なことがほとんどです。
*こっちで勝手にそれなりに名の通ってるであろう監督を選んで、太字にしました。
*ドラマはおおむね、クリエイター(企画に相当)>メインのプロデューサー(第一話監督を兼ねる事が多い)>各話ディレクター>ただのプロデューサー(監督回がない場合が多い)の順で作品に深く関わっています。たぶん。


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NETFLIXオリジナル

『ハウス・オブ・カード/野望の階段』(2013〜継続中)→デヴィッド・フィンチャー(『セブン』、『ファイト・クラブ』、『ゴーン・ガール』他)
その他映画人:エリック・ロス(『フォレスト・ガンプ』や『ベンジャミン・バトン』などの脚本家*1)、ボー・ウィリモン(本作の事実上の責任者であるクリエーター。映画界では過去にジョージ・クルーニー監督作『スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜』の原作・脚本を務める)

『センス8』(2015〜継続中)→ウォシャウスキー姉妹(本作の共同クリエーター、第一話をはじめとしてシーズン1の七話分を監督。『マトリックス』シリーズ等)

『Love』(2016〜継続中)→ジャド・アパトー(『40歳の童貞男』、『ステキな人生の終わり方』他)

『リッチー・リッチ』(2015〜同名ドラマのリメイク)→ブライアン・ロビンズ(本作のクリエーター。『シャギー・ドッグ』『陽だまりのグラウンド』他)

『ナルコス』(2015〜継続中)→ジョゼ・パジーリャ(『エリート・スクワッド』、『ロボコップ(2016年版)』他)
その他:クリエーターはクリス・ブランカトー(『スピーシーズ2』の脚本家)やダグ・ミロ(『プリンス・オブ・ペルシャ』、『魔法使いの弟子』の脚本家)

『ストレンジャー・シングス』(2016〜継続中)→ショーン・レヴィ(『ナイト・ミュージアム』シリーズ、『リアル・スティール』他)

『ゲットダウン』(2016〜継続中)→バズ・ラーマン(『ロミオ+ジュリエット』、『ムーラン・ルージュ』、『華麗なるギャツビー』他)
 その他:キャサリン・マーティン(『ムーラン・ルージュ』『華麗なるギャツビー』の衣装デザイナー)、NAS(本作でリリックを担当。ラッパー。たまにセガール映画とかに出てる)

『ヘムロック・グローヴ』(2013〜2015)→イーライ・ロス(『ホステル』、『ノックノック』、『グリーン・インフェルノ』他)
その他:デラン・サラフィアン(エグゼクティブ・プロデューサー、複数話監督。『ガンメン』、『ターミナル・ベロシティ』他監督)

『Splatter』(2009、日本未配信)→ジョー・ダンテ(全話監督、『グレムリン』シリーズ、『ピラニア』、『スモール・ソルジャーズ』他)

他社制作なものの配信はネトフリ限定

『デレク』(2012-2014)→リッキー・ジャーヴェイス(クリエーター、全話監督・脚本・主演。『ウソから始まる恋と仕事の成功術』、『スペシャル・コレスポンデンツ』など)

『ボルジア 欲望の系譜』→バリー・レヴィンソン(監督回はなし。『レインマン』など)

『ウーナとババの島』→トム・ムーア(『ケルツの秘密』、『ソング・オブ・ザ・シー』)

『スクリーム』(同名映画のドラマ化)→ウェス・クレイヴン(監督回はなし。最近亡くなりましたんで、そらね。R.I.P.
 備考:タイ・ウエスト、ティム・ターナー(両者複数回監督。→『ウェイワード・パインズ』を参照)

『シャドウハンター』→マックG(『チャーリーズ・エンジェル』シリーズ、『ターミネーター4』など)

フロム・ダスク・ティル・ドーン』(2014~、日本未配信、同名映画のドラマ化)→ロバート・ロドリゲス(クリエーター。『デスペラード』、『マチェーテ』、『シン・シティ』シリーズなど)

『Southcliff』(日本未配信)→ショーン・ダーキン(クリエーター、全話監督。『マーサ、あるいはマーシー・メイ』)

予定

『Godless』(2016)→スティーヴン・ソダーバーグ(本作の共同クリエーター。『トラフィック』、『オーシャンズ11』シリーズ、『エリン・ブロコヴィッチ』他)、スコット・フランク(本作の共同クリエーター。『誘拐の掟』、『ルックアウト 見張り』の監督。元は脚本家で『アウト・オブ・サイト』や『マイノリティ・リポート』、『ウルヴァリン:SAMURAI』などを担当)

『Green Eggs and Ham』(2018、ワーナー、アニメ)→デイヴィッド・ドプキン(『シャンハイ・ナイト』、『ジャッジ 裁かれる判事』)

『Anne*2』(2017)→ニキ・カーロ(一話監督のみでプローデュースはしない? 『スタンドアップ』、『マクファーランドUSA』他)

『The Crown』(2016)→ステファン・ダルドリー(第一話監督のみ?、『リトル・ダンサー』、『めぐりあう時間たち』、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』他)
 その他:ピーター・モーガン(本作のクリエーター。『クイーン』、『フロスト/ニクソン』の脚本家)

『Dear White People』(2017)→ジャスティン・シミエン(クリエーター。2014年の同題映画作品のドラマ化)

『Easy』(2016)→ジョー・スワンバーグ(本作のクリエーター。『ドリンキング・バディーズ』他)

『Friends From College』(未定)→ニコラス・ストーラー(本作のクリエーター。『ネイバーズ』、『あこがれのウェディング・ベル』他)

『Gypsy』(未定)→サム・テイラー=ジョンソン(第一話+二話監督。『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのアイツ』、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』)

『Lost in Space』(未定、同名映画のリメイク)→ニール・マーシャル(『ディセント』、『センチュリオン』等)

『Maniac』(未定)→キャリー・フクナガ(本作のクリエーター。『ビースト・オブ・ノーネーション』、『ジェーン・エア』等)

『Mind hunter』(2017)→デヴィッド・フィンチャー
 備考:ジョー・ペンホール(本作のクリエーター。『Jの悲劇』、『ザ・ロード』の脚本)

『Ozark』(2017)→ジェイソン・ベイトマン(本作ではエグゼクティブ・プロデューサー、監督、主演の三役を兼任。主に俳優だが、監督としては『バッドガイ 反抗期の中年男』など)

『Santa Clarita Diet』(2017)→ドリュー・バリモア(主演も兼任。俳優・プロデューサーが主だが監督しては『ローラーガールズ・ダイアリー』)

『Paranoid』(2016)→マーク・トンデライ(一話監督? 『ボディ・ハント』、『監禁ハイウェイ』)

『Watershed Down』(2017、アニメ、『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』のリメイク)→ノーム・ムロ(監督のみ? 『300/帝国の逆襲』など)

『Alias Grace』(2017)→サラ・ポーリー(監督回はないが、全話で共同脚本*3。『アウェイ・フロム・ハー』、『物語る私たち』等)
 備考:メアリー・ハロン(全話監督。『アメリカン・サイコ』、『モス・ダイアリー』他)

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Hulu

日本未配信

『Up to Speed』(2012)→リチャード・リンクレイター(クリエーターも兼任? 『ビフォア』シリーズ、『スキャナー・ダークリー』、『六歳のぼくが大人になるまで』他)

『Resident Advisors』(2015〜)→エリザベス・バンクス(監督や脚本などは担当していない。チョイ役で出演も。『ピッチパーフェクト2』)

『カジュアル』(2015〜継続中、日本ではAmazonの配信サービスで販売中)→ジェイソン・ライトマン(S1とS2の一話二話監督も兼任。『ジュノ』、『マイレージ、マイライフ』、『ヤング≒アダルト』他)

『The Confession』(2011)→キーファー・サザーランド(クリエーターと主演も兼任。主に俳優だが、監督としては『要塞監獄 プリズナー107』)

『11/22/63』(2016)→J.J.エイブラムス(監督回はなし。『スーパー8』、『スター・ウォーズ:フォースの覚醒』、『M.I: III』他)
 備考:ケヴィン・マクドナルド(第一話監督のみ。『ラストキング・オブ・スコットランド』、『ブラック・シー』など)、ジェイムズ・フランコ(主演と第六話監督。俳優が主だが、監督としては『Child of God』など)

『A Day in the Life』(2011、ドキュメンタリーシリーズ)→モーガン・スパーロック(『スーパーサイズ・ミー』等)

予定

『The Warriors』(未定、映画『ウォリアーズ』のドラマリメイク)→ルッソ兄弟(クリエーター? 『キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー』、『シヴィル・ウォー/キャプテンアメリカ』等)


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Amazon Prime

『ハンズ・オブ・ゴッド』→マーク・フォスター(一話二話監督兼任。『007/慰めの報酬』、『ワールド・ウォーZ』など)

モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』→ロマン・コッポラ(クリエーターと複数話監督兼任。『チャールズ・スワン三世の頭ン中』等監督。『ダージリン急行』や『ムーンライズ・キングダム』等で脚本)
備考:ジェイソン・シュワルツマン(クリエーターとちょい役も兼任。俳優)、ポール・ワイツ(第一話二話監督。『アバウト・ア・ボーイ』、『アメリカン・パイ』、『アドミッション -親たちの入学試験-』などを監督)

『Betas』(2013-2014)→マイケル・レーマン(第一話を始めとした複数回監督。『ヘザース』、『アップルゲイツ』、『好きと言えなくて』など)

『レッド・オークス』(2014〜)→デイヴィッド・ゴードン・グリーン(S1第一話、第二話、最終話監督も。『スモーキング・ハイ』、『セルフィッシュ・サマー』など)
 備考:スティーヴン・ソダーバーグ(共同クリエーター。同作での監督回はなし。)、グレゴリー・ジェイコブス(共同クリエーター。全話で共同脚本。映画監督としては『マジック・マイクXXL』)

日本未配信

『The Man In th High Castle』→リドリー・スコット(監督回はなし。『ブレードランナー』、『エイリアン』、『オデッセイ』等)
 備考:ブラッド・アンダーソン(第七話監督。主にテレビ監督だが、映画には『マシニスト』など)

予定*4

『One Mississippi』(2016)→ディアブロ・コーディ(共同クリエーター。映画監督作は日本未公開の『Paradise』。脚本家としては『ヤング≒アダルト』、『ジュノ』、『ジェニファーズ・ボディ』ほか)

『Crisis in Six Scenes』(2016)→ウディ・アレン(クリエーター、脚本、監督、主演。『アニー・ホール』、『ブルージャスミン』、『マッチポイント』他多数)

『Sneaky Pete』(未定)→セス・ゴードン(『モンスター上司』、『ヤバイ経済学』ほか)

『ザ・ラスト・タイクーン』(2017)→ビリー・レイ(クリエーターと複数回監督兼任。映画監督としては『ニュースの天才』、『シークレット・アイズ』。脚本家としては『ヴォルケーノ』、『フライトプラン』、『キャプテン・フィリップス』、『ハンガーゲーム』ほか)

『Tom Clancy's Jack Ryan』(未定)→マイケル・ベイ(『トランスフォーマー』シリーズなど)

『Buckaroo Banzai』(未定)→ケヴィン・スミス(『クラークス』、『チェイシング・エイミー』、『Mrタスク』など)

『The Departed』(未定。映画『ディパーテッド』のドラマリメイク、つまり『インターナルアフェア』のリメイクのリメイク)→マーティン・スコセッシ

他にパイロット版が多数あるんだけど、多すぎてめんどくさい。

ケーブルTV系列(めんどくさいので2010年以降かつ上記三つの日本版VODで観られるもののみ)

『ナイト・マネジャー』(2016、BBC&AMC、Amazonで視聴可)→スザンネ・ビア(全話監督。『ある愛の風景』、『未来を生きる君たちへ』、『真夜中のゆりかご』など)

ウォーキング・デッド』(2010〜、AMC、Huluで視聴可)→フランク・ダラボン(クリエーター。『ショーシャンクの空に』、『ミスト』など)
 備考:ジェニファー・リンチ(複数回監督)

『THE TRUE DETECTIVES』(2014〜継続中、HBO、Huluで配信中)→キャリー・フクナガ(S1全話監督)
 備考:ジャスティン・リン(S2一話二話監督。『ワイルド・スピード』シリーズ、『スター・トレック:ビヨンド』など)ジョン・クロウリー(S2第五話ならびに最終話監督。『BOY A』、『ブルックリン』など)、ミゲル・サポチニク(S2第六話監督。『レポゼッション・メン』)、ヤヌス・メッツ(S2第三話監督。『アルマジロ アフガン戦争最前線基地』)

『エンパイア:成功の代償』(2015〜継続中、FOX、amazonで購入可)→ダニー・ストロング(共同クリエーター、複数回監督・脚本。監督として『Rebel in the Rye』、脚本家としては『大統領の執事の涙』、『ハンガー・ゲーム FINAL』、『ゲーム・チェンジ 大統領選を駆け抜けた女』など)、リー・ダニエルズ(共同クリエーター、複数回監督・脚本。『プレシャス』、『大統領の執事の涙』など)
 備考:ジョン・シングルトン(S1第五話監督。『ボーイズ’ン・ザ・フッド』、『ワイルド・スピード2』など)、サナー・ハムリ(複数回監督。『旅するジーンズと19歳の旅立ち』、『恋のスラムダンク』など)、クレイグ・ブリュワー(S2第三話監督。『ハッスル&フロウ』など)、シルヴァン・ホワイト(S2第七話監督。『ラストサマー3』、『ルーザーズ』など)

『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』(2012〜、BBC、huluで配信中)→サム・メンデス(監督回はなし)
 備考:ルパート・グールド(S1『リチャード二世』全話監督。『トゥルー・ストーリー』)、リチャード・エア(S2『ヘンリー四世』全話監督。『あるスキャンダルの覚え書き』など)、シア・シャーロック(S3『ヘンリー五世』全話監督。『世界一キライなあなたに』)、ドミニク・クック(S4『ヘンリー六世』、S5『リチャード三世』全話監督。17年にイアン・マキューアン『初夜』が原作の『On Chesil Beach』で映画監督デビュー予定)

『プリーチャー』(2016〜、AMC、Amazonで配信中)→セス・ローゲンエヴァン・ゴールドバーグ(共同クリエーター、第一話二話共同監督および共同脚本。ローゲンは主に俳優だが、ゴールドバーグとタッグを組んだ共同監督作に『ディス・イズ・ジ・エンド』や『The Interview』などがある)

『ボードウォーク・エンパイア』(2010-2014、HBO)→マーティン・スコセッシ(『グッドフェローズ』、『キング・オブ・コメディ』、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ほか)
 備考:テレンス・ウィンター(クリエーター。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』などの脚本)

ウェイワード・パインズ 出口のない街』(2015〜継続中、FOX、複数サイトで配信)→M・ナイト・シャマラン(『シックスセンス』、『アンブレイカブル』、『ヴィジット』ほか)
 備考:ジェームズ・フォーリー(S1第五話監督。『ハンニバル』、『コンフィデンス』など)、ティム・ハンター(S1第八話監督。『ザ・コレクター』、『コントロール』など)、タイ・ウエスト(S2 最終話含む複数話監督。『キャビン・フィーバー2』、『サクラメント 死の楽園』など)、ジェニファー・リンチ(S2第八話監督。『ボクシング・ヘレナ』、『サベイランス』など。デヴィッド・リンチの娘)、ジョン・クロキダス(S2第三話監督。『キル・ユア・ダーリン』など)、ブラッド・ターナー(S2第二話監督。『スピーシーズ3』など)、ヴィンチェンゾ・ナタリ(S2第六話監督。『キューブ』『カンパニーマン』)

『ファーゴ』(2014〜継続中、FX、複数サイト)→コーエン兄弟(監督回はなし。同名の監督作のドラマ化。『ノーカントリー』、『トゥルー・グリット』、『ビッグ・リボウスキ』など)

ダウントン・アビー』(2010-2015、ITV、複数サイト)→ジュリアン・フェロウズ(クリエーターと全ての回で脚本。映画界では『孤独な嘘』などを監督、脚本家としては『ゴスフォード・パーク』など)

『ザ・ラストシップ』(2014〜継続中、TNT、複数サイト、huluなど)→マイケル・ベイ(監督回はなし)

『ブラック・セイルズ』(2014〜継続中、huluなど)→マイケル・ベイ(監督回はなし)

『シリコン・バレー』(2014〜継続中、HBO、Huluで配信)→マイク・ジャッジ(共同クリエーター&複数回監督・脚本。『ビーヴァス&バットヘッド ザ・ムービー』、『26世紀少年』など)

スパルタカス』(2010〜2013、Starz、今はどこも配信してない?)→サム・ライミ(監督回なし。『死霊のはらわた』シリーズや『スパイダーマン』シリーズなど)

『アメリカン・ホラー・ストーリー』(2011〜、FX、複数サイトで視聴可)→ライアン・マーフィー(クリエイター、S1とS4第一話監督。『食べて、祈って、恋をして』など)*5
 備考:ジェイムズ・ウォン(S2S4で脚本とエグゼクティブ・プロデューサー。『Dragonball Evolution』『ファイナル・デッドコースター』など)、マイケル・レーマン(複数シーズンで複数回監督)、アルフォンソ・ゴメス=レホン(複数シーズンで複数回監督。『僕とアールと彼女のさよなら』)

死霊のはらわた リターンズ』(2015〜、同名映画の続編、Starz、Huluで配信中)→サム・ライミ

ガールフレンド・エクスペリエンス』(2015〜、同名映画のドラマ化、Starz、アマゾンで配信中)→スティーヴン・ソダーバーグ(監督回なし)
 備考:エイミー・サイメッツ(クリエーター、全話脚本、複数回監督。映画監督作はいくつかあるものの、いずれも日本未紹介。俳優として『サプライズ』などに出演)

『Ballers/ボウラーズ』(2016-、HBO、Huluで配信中)→ピーター・バーグ(『バトル・シップ』、『ローン・サバイバー』など)

『コミ・カレ!』(2009〜2016、amazonで購入可)*6*7ルッソ兄弟(複数回監督)
 備考:ジム・ラッシュ(複数回監督、レギュラー出演も。『プールサイド・デイズ』監督。脚本家として『ファミリー・ツリー』でアカデミー脚本賞受賞)、ジャスティン・リン(複数回監督)、デューク・ジョンソン(ストップモーションアニメ回を複数回監督。『アノマリサ』の共同監督)、セス・ゴードン(s1第十話監督)

ストレイン 沈黙のエクリプス』(2014〜、FX、amazonで購入可)→ギレルモ・デル・トロ(『パシフィック・リム』、『パンズ・ラビリンス』など)

『シャナラ・クロニクルズ』(2016〜、MTV、amazonで購入可)→ジョン・ファヴロー(監督回なし)
 備考:ジョナサン・リーベスマン(第一話監督。『世界侵略:ロサンゼルス決戦』など)、ブラッド・ターナー(複数回監督)

未配信、未定枠

『The knick』(2014〜、日本未配信)→スティーヴン・ソダーバーグ(全話監督)

ツイン・ピークス』(2017〜、同名ドラマの続編)→デイヴィッド・リンチ(『インランド・エンパイア』、『マルホランド・ドライブ』など)

『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』(2016〜、FX、日本ではスターチャンネルで放送予定なのでその後VODに?)→ライアン・マーフィー(クリエイター、S1第一話と最終話含む複数回監督)
 備考:スコット・アレクサンダー&ラリー・カラゼウスキー(エグゼクティブ・プロデューサーと複数回脚本。『エド・ウッド』、『ビッグアイズ』などの脚本家コンビ)


余談

・あらすじやキャストなどは各自でググッてください。だいたい、「この監督がやるならこういう感じの話なんだろうな」のイメージの範囲内だと思います。たまーにショーン・レヴィがレトロなホラー(『ストレンジャー・シングス』)やってたりなどしていますが。


・脚本家ドリヴンだと『ゲームズ・オブ・スローンズ』のデヴィッド・ベニオフ、『スリーピー・ホロウ』のアレックス・カーツマンとかがクリエイターやってますね。


・もちろん日本に入ってきてないやつで映画監督がプロデュースしてるのはまだあって、個人的に一番観たいのはフィル・ロード&クリストファー・ミラーの『Brooklyn 9-9』(2013)と『The last man on Earth』(2015)ですかね。


・2010年以前の、ちょっと前のドラマを観ていると、今は一線級で活躍している映画監督の下積み時代やベテラン監督の余技みたいなんがゲスト監督として出てきたりしてます。そういうのを楽しみしていってもいいかも。
 ブレイキング・バッド(どこでも観られる)のライアン・ジョンソン(『ルーパー』、『スター・ウォーズ:エピソード8』)とか、『ザ・オフィス』(ちょっと前までhuluで観られたのに今はどこにもなくて悲しいね)のポール・フェイグ(『ブライズメイズ』『ゴースト・バスターズ(2016年版))やケン・クワピス(『ロング・トレイル』)やハロルド・ライミス(『恋はデジャ・ヴ』、『アナライズ・ミー』など)やマーク・ウェブ(『(500)日のサマー』、『アメイジングスパイダーマン』)やジェイソン・ライトマンジョス・ウェドン(『アベンジャーズ』シリーズ)やJJエイブラムスやジョン・ファヴロー(『アイアンマン』、『ジャングルブック』など)とか、アレステッド・ディベロップメント(ネットフリックスで観られる)の二番手三番手のレギュラー監督としてルッソ兄弟やポール・フェイグやグレッグ・モットーラ(『スーパー・バッド 童貞ウォーズ』『宇宙人ポール』など)とか、なんかコメディばっかだな。


 そうそう、出世魚コメディといえばもはや90年代だけど『フリークス学園』(ネットフリックスで観られるようになりました)を忘れちゃいけません。
 クリエーターにポール・フェイグ、プロデューサーにジャド・アパトーを迎えたこの作品はケン・クワピスやジェイク・カスダン(『セックステープ』や『ジュマンジ(2017年版)の監督。ちなみにスター・ウォーズ脚本家のローレンス・カスダンの息子)らが複数回監督を務め、俳優陣からはジェイムズ・フランコセス・ローゲンジェイソン・シーゲル、リジー・キャプラン(四話くらいだけど)、マーティン・スター、ジョン・フランシス・デイリー(『モンスター上司』の脚本や『おバカンス家族』の監督脚本)、ベン・フォスター(一話だけだけど)、ジェイソン・シュワルツマン(一話だけだけど)、シャイア・ラブーフ(一話だけだけど)といった今30〜40代でノリにのってる人々を多数輩出。ベン・スティラーもちょっとだけ出てるよ。
 『フリークス学園』から発生? したのがジャド・アパトーを中心とする「アパトー・ギャング」で、今や米国コメディ映画界は彼らによって支配されているといっても過言ではないわけですが、そこらへんは長谷川町蔵の『21世紀アメリカの喜劇人』に詳しいです。

 

*1:『ハウス・オブ・カード』での脚本担当はなし

*2:モンゴメリーの『赤毛のアン

*3:共同脚本のもうひとりは原作者マーガレット・アトウッド

*4:いくつかは日本でパイロットを放送済

*5:っていうかこの人は『glee』の人ですよね。世間的には

*6:厳密には2010年代開始ではないのでルール違反だけど、今のルッソ兄弟を語るのに欠かせないドラマなのでいれといた

*7:っていうか、『コミカレ』のクリエーターであるダン・ハーモンとその派閥については後述のアパトーギャングに匹敵するくらい重要だと思うので、どこかでまとめたいですね

8月に観た新作映画短観

新しい順。


👍『君の名は。』(新海誠監督)

「君の名は。」予告
 いったい我々の前に何度立ちはだかってくるのだ川村元気(と市川南)。
 こういう系は、主観的な心象世界にどれだけ観客を巻き込めるかにかかっていて、すくなくともそれには成功してるんじゃないかな。
 

 
👍『ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影』(デイヴ・グリーン監督)

映画『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ アウト・オブ・シャドウズ(原題)』予告編

 前作同様半年したら内容一ミリも憶えられてなさそうな刹那さが塩梅いい。こういうのを観に行く気力を失ってしまった本格的に人間病んでしまうんだとおもいます。なんの話だ。
 新参の使い走り悪役コンビの最低だけど仲睦まじいバディっぷりと最低の底を抜けたバカっぷりがべらぼうにキュート。アクションは主人公がCGアニメキャラな悲しさか、単に作風なのか、けっこうざっくり。序盤のカーチェイスとかその大雑把さがいい味出してるんですけどね。その脱出法は無理だろ、っていうか。
 大雑把さでいえば、敵の組織が自社の監視カメラの映像を主人公サイドに不利なように
 物語面では亀たちが自らの存在について妖怪人間ベムめいた葛藤を抱きますがまあみんなどうでもいいですよね。みんなアホだから悩んでるようでそんな悩んでるように見えないし。とはいえマイケル・ベイのことだし、これで「最近の黒人差別問題について語っているんです!」くらいはどっかでほざいてそう。

 黒人といえば、天才オタク博士を演じるタイラー・ペリー。wikipedia に載ってるくらいの情報しか知らない(黒人向けコメディ映画作って大儲けしてる人くらいの認識)んですがこの人、ほんとに凄腕のコメディアンだったんですね。思い返せば『ゴーン・ガール』のときも、作品全体のトーンに一番ハマっていたのは彼だったのかもしれない。次の待機作はクロエ・グレース・モレッツ主演の難病もの(またか)らしいですが。


👍『ゴースト・バスターズ』(ポール・フェイグ監督)

映画 『ゴーストバスターズ』予告1

 公開前からひと悶着もふた悶着もマイティボンジャックあった作品ですが、ふたを開けてみるとまあソフトなポール・フェイグ映画。
 開幕おもらしザック・ウッズと職業差別へのカウンター通り越してもはや人間失格レベルのクリス・ヘムズワースが最高にチャーミング。レスリー・ジョーンズとケイト・マッキノンに関しては普段『サタデー・ナイト・ライブ』でのほうがまだはっちゃけて見えた。
 SNLも二人の資質からすると(特にマッキノンは)まだ抑えているだと思うので、R指定作品でどこまでやれるのか試して欲しい。
 レスリー・ジョーンズは『トップ・ファイヴ』観るかぎり、もっと幅のある俳優に思えるんですよね。
 エンディング・クレジットは今年随一。

 
👎『X-MEN:アポカリプス』(ブライアン・シンガー監督)

映画「X-MEN:アポカリプス」予告B

 マグニートーさんがまたいじけて家出したので友人総出で説得しに行く話。いってみればアイマスみたいなもんですよ。グループだしね。事務所の関係で出たり出られなかったりするしね。やめらんないしね。ブライアン・シンガー的には僕の考えた最強のイケメン・パラダイスって感じ。
 スカーレット・ウィッチ(だよね?)の雑すぎる処理からして、もうシリーズ幕引きするつもりなのかな、と思いきやまだ続けるつもりらしいですよ?


👎『バットマンキリング・ジョーク』(ブルース・ティム&サム・リウ監督)

Batman The Killing Joke Official Trailer

 原作読んでからこれ見たら、だいたいみんな『映画秘宝』の柳下毅一郎評とおなじ感想を持つんじゃないんですかね。政治的に正しくあろうとすること自体は間違いではないんですが、その努力の方向を間違えてしまった結果、PC的にもコミック的にも失敗してしまった。ハーレクイン生み出したアニメ版のスタッフですし、むべなるかな。


✊『ジャングル・ブック』(ジョン・ファヴロー監督)

映画『ジャングル・ブック』予告編

 アニメ映画板『くまみこ』。
 シャーマン兄弟とかアラン・メンケンのミュージカルがドメインとして使える時点で、ディズニーは圧倒的に強いんですよね。
 ワーナーで作っているとかいうアンディ・サーキス版はどうなるのか。


👍『ペット』(クリス・ルノー&ヤロー・チェイニー監督)

『ペット』日本語吹替え版予告

 沢城みゆきが完全に『マイ・リトル・ポニー』のキチトワイ。ストーリーや世界観の作り込みではディズニー/ピクサーに勝てないことはわかった上でチージーでスラップスティックなギャグアニメを量産するイルミネーション・スタジオの戦略はそれはそれで応援したいです。
 とはいえ彼らにも人並みの芸術的野心はあるらしく、『銀河ヒッチハイクガイド』の監督を迎えた『シング』はどうなるのか。


👍『殺されたミンジュ』(キム・ギドク監督)
 奴隷はなぜ奴隷であるかを説く資本主義残酷物語。プラス『ヨブ記』。
 かぎりなく意図的であろうチープな画面は見続けるうちに慣れで解決できますが、問題は一本調子な語り口で、ギドクなりにアクセントはつけてくれるもののやはり似たような挿話が六回続く展開は間延びします。が、その素っ気なさや飽和感こそがまさにこの映画の狙うところであって、でなければ同じ俳優を(明らかに物語中では別人なのに)似たポジションに何度も登場させるメタ演出など使わないでしょう。*1


 
 

*1:観てるあいだは「韓国人イケメン俳優って似たような顔ばっかなせいか、見分けがつかないな」などと思ってましたがそれはともかく。