名馬であれば馬のうち

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ニコラ・ド・クレシー『プロレス狂想曲』

 日本でもめっちゃ評価されてる部類に入るはずだけれど具体的な仕事となると『天空のビバンドム』以外になかなかまとまったものの読みにくい天才BD作家、ニコラ・ド・クレシー。
 そんなド・クレシーが日本のジャンプスクエアかどっかに月一で連載していた作品ですね。フランスの漫画なので当然左から右へ読むのを、雑誌連載時には逆さまに印刷するという力技で掲載していたらしいです。


 主人公は冴えないハゲでちびでメガネの、まあどうしようもない童貞中年で、両親が遺した楽器店でピアノが上手いペンギンと一緒に暮らしています。彼は街のプロレス団体に所属する女性レスラーに恋しているのですが、彼女のほうでは同団体の最強マッチョレスラーと恋仲です。絶望的ですね。
 そんなある日、街(およびプロレス団体)を仕切るマフィアのボスである甥(まだ赤ん坊で赤ちゃん言葉で喋る)が主人公の楽器店を乗っ取ろうとして、彼を罠にかけようとします。
 主人公は突然介入してきた幽霊たちによってなんとか九死に一生を得るわけですが、叔父を殺し損ねたと知った甥は大激怒。プロレスラーを率いて楽器店へ襲撃にかけます。


 さあ、これがどうなるか、ってところで打ち切りみたいにして終わっちゃうんですよね。これまでのド・クレシーも似たような投げっぱなしオチばかりだったんで、たぶん最初から一巻完結にする予定だったんでしょう。にしても、なんでここで切るのかってとこで切っちゃう。
 こちらとしては鬱屈した中年の人生なんかよりも、ペンギンがピアノを引きながら街なかを突っ走る画を見たいのでそれはそれで結構だとおもいます

プロレス狂想曲 (ヤングジャンプコミックス)

プロレス狂想曲 (ヤングジャンプコミックス)