名馬であれば馬のうち

読書、映画、ゲーム、その他。


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今週のトップ5: 『ハウス・オブ・カード』Netflix配信開始、「Moth to the Flame」 、『マネー・ショート』、『ズートピア』全米公開、『ロデリック』発売、「Kiddy Pool Dreams」

今週は特に何もしなかった。

Chairlift「Moth to the Flame」(『MOTH』)


Chairlift - Moth to the Flame (Audio)
 
 なぜMVを作らないのか。


 Chairlift のMVといえば分岐未来ものSFっぽい「Met Before」が好きです。

Chairlift - Met Before


 もちろん、「I belong in your arms」日本語ヴァージョンのカラオケデモっぽさ溢れるMVも好きです。

I Belong In Your Arms (Japanese Version)

『ハウス・オブ・カード』、Netflix で配信開始

 日本版サービス開始時から「Netflix 製作なのになぜか本家では配信されておらず、ライバルである Hulu では観られる」という珍現象が嘆かれていた『ハウス・オブ・カード』ですが、ようやく配信開始です。しかも本邦初公開の第三、第四シーズンもまとめてですから不思議と大盤振る舞いに見える。猫拾い不良効果ですね。
 このところアメリカドラマのクオリティの上昇具合がやばいよねみたいなことよく聞きますけれど、本当にイッキ見が止まらないクラスだったのは『ハウス・オブ・カード』くらいですよ。あと、『ファーゴ』。

 主役のフランシス(フランク)・アンダーウッドさんはとりあえず目の前の目的のために誰かを陥れたり、仲間を切ったりして勝利をつかむんですけれども、それはその場限りのもので、陥れられたり切られたりした人たちがあとで意趣返しにやってくる。で、それを抑えるためにまた誰かを犠牲に……というのを繰り返すツイスター(遊具の)ドラマで、フランクさんは基本サイコパスな人ですから他人から向けられるヘイトを軽視してるんですね。だから問題が起きたときも権力や金で解決しようとするんだけど、それが通じない相手っていうのが出てくる。それをいかに力技と詭計でひねりつぶすかというのがアツい。このへんの駆け引きの妙は、プロデューサーのフィンチャーというよりかは、『スーパー・チューズデー』の脚本家ボー・ウィリモンの功績でしょう。

『マネー・ショート』


『マネー・ショート 華麗なる大逆転』予告編

 社会的な意義と意識は大変に高いものがあるし、専門用語の飛び交う難解な金融システムをなんとか観客に伝えようとあらゆる努力を尽くす様には敬意すらおぼえるんだけれど、いかんせんそのための「クール」なメタ手法(キャラが画面に向かって語りかけてきたり、マーゴット・ロビーやセレーナ・ゴメスが本人役で説明に出てくるとこ)が小慣れてないせいとバリー・アクロイドの躁的なカメラワークとの噛みあわなさで作品全体のリズムを殺してしまっていて、もうちょっとそこらへんなんとかならなかったのかなあ、といいますか、じゃあ正攻法にしとけばよかったのかといえば、アダム・マッケイさん昔から何やってもトロいところがあって、資質としてどうしようもないのであればどうしようもないんじゃないかな。なんだかんだ言うて、スコセッシは偉大です。
 ただ原作がべらぼうに面白いのと、クリスチャン・ベールアスペルガー演技(原作に「この人はアスペルガー」って書かれてるんだからしょうがない)がやたら気合入ってるのとであらかじめ底上げというかブーストかかってるおかげで、130分の長丁場を飽きさせないつくりにはなっている。
 

『ズートピア』全米公開


『ズートピア』予告編

 日本では四月公開。
 予測では『ロラックスおじさんの秘密の種』(いつ見てもキチガイじみたタイトルだ)を抜いて「三月公開のアニメ映画でオープニング興収全米歴代ナンバーワン」*1というすごいのかなんだかよくわからない記録を達成する見込みだとか。『ロラックスおじさん』に勝ちましたと言われてもなあ。
 ちなみに、このまま推移するとWDAS作品としては『ラプンツェル』(2.22b)を抜いて歴代二位の成績をあげそうな気配。
 批評家のレビューもなべて好評で、社会問題に対する意識の高さが主に評価されてるっぽい。善きことを高いクオリティで真っ当に描くことで広く支持される『スポットライト』パターンか。
 純エンタメ的にはバディ・ムービーとポリティカルサスペンスを巧く融合させた、ディズニーらしからぬダークなプロットが好意的にうけいれられたみたいですね。:
 「今年のベストアニメ映画」*2、「ディズニー最高傑作のひとつ」*3、「現状今年のベスト作品」*4、「現時点での今年ベスト映画であり、間違いなく今年のアカデミー長編アニメ賞にノミネートされる作品」*5、「まず間違いなくオスカー候補」*6、「『アナと雪の女王』に比する子どもたちにとってのヘビロテ映画になるポテンシャルがある」*7、「今現在こそがアニメの黄金期なのだと強い確信を抱く出来」*8、「私にとってのベストアニメ映画。ここ一、二年のベストでも、ここ十年のベストでもなく、人生通じてのベストという意味で」*9

 待ち遠しい。 

『ロデリック』発売。

 《ストレンジ・フィクション》叢書スタート時からずっと刊行予定一覧に載り続けていたにもかかわらず、未刊のまま「第一期完結」として叢書ごと打ち切られていたあの『ロデリック』が、ホントに出た。誰も出ると思っていなかったのに、ホントに出た。ついでに《ストレンジ・フィクション》も復活……したのかしてないのか。

Pinkshinyultrablast「Kiddy Pool Dreams」


Pinkshinyultrablast - Kiddy Pool Dreams

 

*1:近年のディズニー映画は十一月公開が慣例になっていた。三月公開は07年の『ルイスと未来泥棒』以来

*2:Washington Post

*3:Movie Guys with Jeff & Dave

*4:MovieWeb

*5:Screen It!

*6:Toronto Sun

*7:NPR

*8:NYC Movie Guru

*9:Chicago Sun-Times