名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


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『キング・オブ・ザ・ヒル』と『ファミリー・ガイ』


 hulu では「アメリカで大人気(シンプソンズサウスパークほどじゃないけど)なのに、日本では全然紹介されてないアニメ」をなぜか一シーズンだけ配信している。
 上の画像は『キング・オブ・ザ・ヒル*1。ランタイム一話二十数分のうち五分の一から三分の一は「冴えないおっさん四人組が路肩でつったってビール飲んでる」という絵面が占めるよく考えたらすさまじいアニメなのであるけれども、これでもアメリカの人気アニメのなかではいちばん表現がマイルド。まあ、原子力発電所につとめて色々やらかしている黄色いおっさんと比べられたらね。
 輸入されない理由はあきらかで、アメリカのローカルネタや時事ネタが多すぎるから。お笑いはいずこの国もナショナルな内輪うけ狙いが基調路線なので、アメリカさまのコンテンツが高級なネタとして通じる国ならともかく、すっかり空気の固まってしまった日本でヒットさせるのはむずかしい(とすくなくともマーケティング関係者からは思われているんだと思う)。このへん、あっちのコメディ映画がこっちで劇場公開されないのと事情的に似ている。
 で、この『キング・オブ・ザ・ヒル』ストーリーがすごい、ギャグがはじけている、というわけでもない。しかし、微妙にリアリスティックな絵柄でなんとなくゆるく笑わせてくる。
 特に主人公の息子がすばらしい。天真爛漫で好奇心旺盛で適度な愚かな中学生なんだけれど、絶妙にむかつくツラのナチュラル小デブなので、なにげないセリフひとつひとつがマジウケる。



 この小デブだけじゃなくて、他のキャラもいいツラしてんのよね。
 クリエーターは『26世紀少年』とかの映画も監督してる。



 あと hulu で配信されてんのが『ファミリー・ガイ』。



 こっちは『テッド』で一躍名を上げたセス・マクファーレンが作ってる。海外のアニメ作家って声優も兼ねることが多いんだけれど、セス・マクファーレンは俳優もやったり歌も作ったり歌ったり踊ったり、なんかまあ多才ですね。
 『キング・オブ・ザ・ヒル』にしろ『サウスパーク』にしろ『シンプソンズ』にしろなんにしろそうだけど、アメリカ製一般アニメはガンガン政治ネタや差別ネタや宗教ネタ等々の際どいネタをふってくる。別にアニメが治外法権なんじゃなくて、アメリカン・コメディならスタンドアップ・コメディにしろコメディ映画にしろお笑い番組にしろ知るかぎりだいたいこんな感じで、アニメならでは独自性といいますか強みというと突拍子もない展開が仕込めるところ。
 特に『ファミリーガイ』はなんでもやる。ロビン・ウィリアムズが無限増殖する話をやったり、喋るリベラルな犬がクスリの禁断中毒を起こしたり、海で知り合ったイルカが自分ちに居候しはじめたり。あと映画やアニメのサブカルネタがとにかく釣瓶撃ち。
 数秒単位のネタを矢継ぎ早につなげていくスタイルなので、全体での展開らしい展開がほとんどない。ゆえにウェルメイドな『シンプソンズ』や『キング・オブ・ザ・ヒル』のスタッフから毛嫌いされていて、『サウスパーク』に至ってはまるまる一話使ってあてつけみたいなパロディ(「『ファミリーガイ』はビンゴゲームのあの回すやつみたいな機械を使ってテキトーな言葉をつなぎ合わせてネタを作っている」ってことにされた)作って大絶賛された。




 『ファミリーガイ』にしろ『キング・オブ・ザ・ヒル』にしろ、さすがに5話くらい観てると飽きるので、ちょうどいい暇つぶしにはなる。

*1:本国では完結