名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


読書、映画、その他。


2月の読書まとめ

漫画:18冊
それ以外:45冊
(1月47冊)

ピックアップ

柳生十兵衛秘剣考 (創元推理文庫)

柳生十兵衛秘剣考 (創元推理文庫)

 主人公の男装剣士をワトソン役に、江戸初期の大剣豪柳生十兵衛を探偵役に不可能殺人から日常の謎(ある流派の必殺剣看破)まで四篇を収録した時代劇ミステリ連作短編集。
 今年国内で出たミステリ短篇集でも出色の出来。

偽史冒険世界―カルト本の百年 (ちくま文庫)

偽史冒険世界―カルト本の百年 (ちくま文庫)

トンデモ本解説。
義経=チンギス・ハン」説から「日本人はムー人だった!」「いやいや、実はエジプト人と同祖だった!」まで、主に戦前の日本を騒がせた珍説奇説を取り上げて委細に解説する。ちなみに明治に書かれた「日本最初のSF」についてもちょこっと紹介されている*1
 いやあ、大正昭和の天才どもが自分の才能を無駄遣いしまくる様が見ていて清々しい。

第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

怪奇趣味の本格ミステリ
カーリッシュな仰天展開の連続(死んだ人間が生き返ったり、もちろん密室で人が死んだり……)。
しかし何より驚くべきは犯人の動機が醸成される過程。
こういうのがアルテの本領なのですよ。

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

執事の追想録。
サラ・ウォーターズイアン・マキューアン、そしてカズオ・イシグロ
これら英国作家が描く「斜陽」のリリカルさは他のどの国の作家にも真似はできない。誰にも、だ。
それを正しくフォローできるという一点において、まちがいなくイシグロは由緒正しく「英国人」以外何ものでもないのであるヨ。


十蘭万華鏡 (河出文庫)

十蘭万華鏡 (河出文庫)

幻想文学短篇集。
寂しいのです。
悲しいのです。
儚いのです:
本当のスノビズムとはこういうことさ。

推定無罪 (上) (文春文庫)

推定無罪 (上) (文春文庫)

法廷ミステリ。
逆転しない裁判は終盤になってひっくり返る。
事件にも人の心にも真実はなく、ただ判決だけが残る。
ミステリ史に残る大名作。

マルタの鷹 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

マルタの鷹 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ハードボイルドミステリ。
ハリウッド映画もアメリカ文学もここからはじまった。
愛や友情すら捨てて探偵としてのプライドだけに生きなきゃいけないのは、出てくる登場人物が漏れなくウソをつきまくる理不尽な世界だから。

新編性悪猫 (ちくま文庫)

新編性悪猫 (ちくま文庫)

猫漫画短篇集。
「ガロ三人娘」*2はいずれも疑いの影もなく天才で、読むたびに心をえぐられる。猫が出てくるだけなのに、出てきて喋るだけなのに、なんでこんなに胸がずきずきするのだろう?
「言語センス」「詩性」「女性らしい」などという形容はいずれも生ぬるい。
やまだ紫の前では、すべて。

ぱら☆いぞ1 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

ぱら☆いぞ1 (WANI MAGAZINE COMICS SPECIAL)

ギャグ四コマ。
ああ、なんて、下衆でくだらなくてエッチでバカでアホでどうしようもない漫画。
でもそれが最高に良いのです。
どうしようもないですね!

惑星さんぽ (WANIMAGAZINE COMICS)

惑星さんぽ (WANIMAGAZINE COMICS)

SF超短編集。
『スラム・オンライン』、『All YOU NEED IS KILL』や『さよならの次にくる』などの表紙絵を担当なすったtoi8先生。
イラストだけじゃあ、ないのよ。
短い話でうまく「世界」を立ち上げてくれるのは、絵の密度ももちろんあるのだけれど、セリフ回しのセンスも無視できない。

*1:詳細は同著者の『日本SF精神史』で

*2:杉浦日向子近藤ようこやまだ紫