名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


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プリーストリー『夜の来訪者』(岩波文庫/2007)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

「夜の来訪者」はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
52年ぶりに復刊された劇台本は物語として異色でありミステリとして出色の出来の誇る。平和で均衡の取れた世界に一人の<よそもの>があがりこんできて登場人物たちの後ろめたい側面をどんどん暴きだしていきエピソードごとにどんどん話がリンクしていくのはまあ『愛しい骨』しかりよくある構成なのだけれど半世紀前に創造されたこの異色短編はそれ一辺倒には留まらない。「謎解き」が合理的に行われながらもアンチ・ミステリとしての要素をふせもち尚且つその謎が真の意味においてドラマとうまく絡み合い連動し魅惑的でありながらも心に残る形容しがたい読後感を与えてくれる。ラスト・ワンフレーズの破壊力も備えた本作は海外ミステリの黄金期がミステリ界だけに留まっていなかったという確かな証拠でもある。