名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


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映評

なぜ『犬ヶ島』はつまらないのか。:『犬ヶ島』について・その1

野田洋次郎も参加!ウェス・アンダーソン最新作『犬ヶ島』日本オリジナル版予告 困ってしまってワンワンワワン、ワンワンワワン ――プロジェクトは犬ものをやろうという着想だったのですか? それとも最初からサムライ犬でやろうと? ウェス・アンダーソン:…

尻のウサギが僕を呼んで:『ピーターラビット』の感想

(Peter Rabbit, ウィル・グラック監督、米、2018) (わりとネタバレを含みます) 映画『ピーターラビット』予告 野うさぎのふたつの身体 さあ、ご紹介しましょう。彼こそがピーターラビット。わたしたちの物語のヒーローです。 青いコートに身を包んだ若い…

二つの身体をもった心:『君の名前で僕を呼んで』について

もしだれかに、なぜ彼が好きだったのかと、しつこく聞かれても、「それは彼だったからだし、わたしだったから」と答える以外に、表現のしようがない気がしている。わたしの思惟を越えて、わたしが個別にいえることを越えて、そこには、なにかしら説明しがた…

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の短いレビュー

(Killing of a Sacred Deer、ヨルゴス・ランティモス監督、英&アイルランド、2017) 開胸手術が施されている最中の心臓のアップではじまる。脈打つ心臓は脂肪に包まれていて、存外に白い。手術を終えたふたりの医師が、病院内の廊下を画面奥から向かっ…

続編でやる反復芸:『パディントン』から『パディントン2』へ

(Paddington 2, 英、ポール・キング監督, 2018年) 前回までのあらすじ 『パディントン2』サイコ〜〜〜〜ッ! proxia.hateblo.jp (『ズートピア』の反復についてはこちら) (*以下、映画『パディントン』および『パディントン2』の盛大なネタバレ…

なぜ犬でなくてはいけなかったのかーー犬映画としての『キングスマン:ゴールデン・サークル』感想

*(注意)この記事は『キングスマン:ゴールデン・サークル』の重大なネタバレを含みます* 姫は間もなくして自分の行為を悔やみました。そして絶望のあまり自らの生命を断ちました。深い愛情をこめた手紙をトリストラム*1にあててしたため、それと同時に、…

ユーゴ紛争について触れずにクストリッツァを語ることは可能だろうか。:『オン・ザ・ミルキーロード』感想

(On the Milkyroad, エミール・クストリッツァ監督、セルビア、2017) *注意:オチまでネタを割っています。 男は厩舎で女と邂逅する。ぎこちなく、けれど自然に数語がやりとりされる。 男は言う。「僕の名はコスタ。きみは誰だ?」 女は返す。「昔は女の…