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名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


読書、映画、その他。


『モアナ』はいかにしてプリンセスという名の呪縛に打ち克ったか

*公開初日かつコンセプトの話が主なのでストーリーの話はほぼしてませんが、「こういうオチにはならない」と明かしている点においてはネタバレです。 モアナ「あのね、わたしはプリンセスじゃない。族長の娘だよ」 マウイ「いいや、プリンセスだね。ドレス…

『ラビング 愛という名前のふたり』の感想

『ラビング 愛という名前のふたり』( Loving 、ジェフ・ニコルズ監督、2016年、米) 映画『ラビング 愛という名前のふたり』予告 光と影のヴァージニア 個別の愛自体になんら「特別さ」などなく、愛は常に普遍的で、だから『ラビング』は二人の出会いや生立…

映画『ラ・ラ・ランド』の感想――夢を夢見て。

『ラ・ラ・ランド』(La La Land, 2016年、米、ダミアン・チャゼル監督) 引用が引用であることそれ自体に意味を持つような状況が成立するのは、どのような場合なんだろうか。それはおそらく、物語のあらゆる要素が「過去」で構成されている場合にちがいない…

11月に観た新作映画

『疾風ロンド』(吉田照幸監督) 『エブリバディ・ウォンツ・サム!』(リチャード・リンクレイター監督) 『シークレット・オブ・モンスター』(ブラディ・コーベット監督) 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(デビッド・イエーツ監督) 『…

第八十九回(2016年度)アカデミー賞長編アニメーション賞候補のショートリスト

が、11日に発表になりました。www.oscars.org『アングリーバード The Angry Birds Movie』 『April and the Extraordinary World』 『Bilal』 『ファインディング・ドリー Finding Dory』 『Ice Age: Collision Course』 『Kingsglaive Final Fantasy XV』 …

『君の名は。』はアカデミー賞を穫れるか? :今年の有力海外アニメ映画の状況

結論からいうと、たぶん無理。 『君の名は。』オスカー候補に名乗り!第89回アカデミー賞長編アニメ部門の審査対象作品に - シネマトゥデイ この一報を目にしたとき、「正気か?」と関係者の判断を疑った。 「『君の名は。』がオスカー穫れる実力なんてある…

10月に観た新作映画の短い感想。

一ヶ月分をまとめて書こうとすると結構内容忘れますね。 『ジェーン(Jane got a gun)』(ギャビン・オコナー監督)「ジェーン」予告編 なにかとマッチョな男ばかり画面にあふれがちな西部劇で、ひとつ女性を主題に据えて撮ってみようじゃないかとナタリー…

九月に観た新作映画短観

年ベスト級が三つ。豊作です。 『ライト/オフ』(デヴィッド・F・サンドバーグ) 「ライト/オフ」予告編 姉映画。 『アメリカン・レポーター』(グレン・フィカーラ)アメリカン・レポーター 全然前に進めない人生を革命するためにイラク戦争中のアフガニス…

じゃあ、『聲の形』の原作者と監督はなんと言っているのか。:監督・山田尚子編

proxia.hateblo.jp の続き。今回は映画版・山田尚子編です。ちなみに今回は『聲の形』に関してのインタビューのみを扱います。 ちなみに監督を含めた俳優・スタッフのインタビューやメディア露出は映画公式サイトにまとめられています。ありがてえありがてえ…

じゃあ、『聲の形』の原作者と監督はなんと言っているのか。:原作者・大今良時編

togetter.com 『聲の形』が晒されている倫理的な批判はだいたい以下の二点に切り分けられます。:「いじめ被害者がいじめ加害者を好きになる、というプロットが加害者側にとって都合良すぎる」「聴覚障害を題材にした映画であるのに、十分な量の字幕上映がな…

「上」か「下」かで生き直す、映画『聲の形』

『聲の形』の話をするのは二回目ですね。 本編のあらすじは各種サイトで確認していただけると幸いです。 以下、かなりヘビーな映画『聲の形』のネタバレを含みます。 映画『聲の形』についてはつい先日、 proxia.hateblo.jp で書いたけど、しかしそもそも「…

映画『聲の形』と漫画『聲の形』、それぞれのカタチの違いについて。

追記 proxia.hateblo.jp ⇡は Ver. 2.0。といっても扱ってる部分がだいぶ違うけれども。 はじめり 『たまこラブストーリー』のころから、山尚について何を語っても狂人の妄言めきやしないかという不安があります。 ともあれ、以下は軽度から強度のネタバレを…

8月に観た新作映画短観

新しい順。 『君の名は。』(新海誠監督) 「君の名は。」予告 いったい我々の前に何度立ちはだかってくるのだ川村元気(と市川南)。 こういう系は、主観的な心象世界にどれだけ観客を巻き込めるかにかかっていて、すくなくともそれには成功してるんじゃな…

My life as a pipe:『ファインディング・ドリー』のパイプについて

枕 『ズートピア』のDVDが届きました。 『ドリー』のパイプの話を思い出しました。 当記事は『ファインディング・ドリー』の重要なネタバレに触れています。っていうか、もう公開から一ヵ月以上経ってるだろが 「ファインディング・ドリー」日本語吹替版予告…

『シン・ゴジラ』の尾頭さんの苗字問題について。

『シン・ゴジラ』を公開日に観て、そのときはまあ、おおむね心地のよい映画だな、だと思い、それ以上の感想については考えませんでした。それでマアその後、インターネットやリアル友人間でシンゴジについて語る言説を多量に摂取してくうち、自分のハラにも…

『ファインディング・ニモ』のドリーは本当に記憶障害なのか。

本記事の概要 『ファインディング・ニモ』に出てくるやたら忘れっぽいナンヨウハギのドリーが記憶障害(健忘症)なのかについて検証した英語記事の翻訳。 前説 『ファインディング・ドリー』を観て、「『ニモ』のときのドリーの忘れっぽさは単なるキャラづけ…

緑の服、緑の店、緑の国――『ブルックリン』について

『ブルックリン』(ジョン・クロウリー監督、カナダ・アイルランド・イギリス・アメリカ合作、2015年) 以下、ネタバレを含みます。記事中程の警告部分以降は結末部を含む重大なネタバレがなされていますのでご注意ください。 あらすじ 1950年代のアイルラン…

『デッドプール』と人間の條件

Deadpool、ティム・ミラー監督、レット・リース&ポール・ワーニック脚本、2016 君たちに問う!! 君たちは人間か!! 『人造昆虫カブトボーグV×V』 あんまりまとまった感想がおもいつかないし、映画の『人間の條件』とは関係ない。 映画『デッドプール』予…

ディズニーのキツネ史:『ピノキオ』から『ズートピア』まで/後編

proxia.hateblo.jp からのつづき。『ズートピア』他のネタバレを含みます。 ズートピア (ディズニーアニメ小説版)作者: スーザン・フランシス,橘高弓枝出版社/メーカー: 偕成社発売日: 2016/04/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見…

ディズニーのキツネ史:『ピノキオ』から『ズートピア』まで/前編

目次 目次 Twentieth Century Foxes in Disney 1930年代:ディズニーのキツネ前史 「キツネ狩り」(The Fox Hunt、1931年、ウィルフレッド・ジャクソン監督) 「ドナルドのきつね狩り」(The Fox Hunt、1938年、ベン・シャープスティーン監督) 1940年代:「…

『ズートピア』の制作史、および『ズートピア』のテーマは「差別」であるのか?

当ブログの最新記事一覧が『ズートピア』で埋め尽くされてて『乙嫁語り』のパリヤさん顔で「うへえ」となりそうな今日このごろですが、もうちょっとだけ『ズートピア』の話をしたいと思います。 今回はズートピアの制作過程について、です。ガイドブックや各…

『ズートピア』におけるハードコア反復/伏線芸のすべて

TLで『ズートピア』鑑賞済み人数が『マッドマックス:FR』並に達した(肌感覚)のでそろそろ『ズートピア』のネタバレをしてもいいんじゃないかと思った。 そういうわけで、本記事は『ズートピア』の重大なネタバレを多数含んでいます。 っていうか基本的に…

iTunes における映画の雑なあらすじ分類

基本的に iTunes で販売・レンタルされている映画に書かれているあらすじはきちんとしている。 どこの馬の骨とも知れないやつが無償であらすじを書く Wikipedia や見放題パックで売りっぱなしの Netflix などとは違って、映画会社もアップルもカネとるために…

イヌが殺される映画について

realsound.jp これ読んで、そういえば犬映画について考えをまとめとく機会を持っていなかったな、と思い出す。 メモ代わりに軽く整理しておきたい。このエントリは性質上、映画の展開のネタバレを孕みます。 最近の映画で「イヌが死ぬ話」といえば、『ジョン…