名馬であれば馬のうち

読書、映画、その他。


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2018年上半期の漫画ベスト10選〜単発長編、短編集編〜

proxia.hateblo.jp の続き。 単発の長編や短編集、連作短編集などといった一巻完結のブツを扱います。 例によって Kindle 化されている本限定です。 感想が絶望的に書けなくなっていて、そういうときのわたしは決まってキング牧師の最後の演説を引用します。…

2018年上半期の生き残るべき新連載マンガ十選

一月ごとにまとめるはずが三月あたりからめんどくさくなったのでこの有様です。どの有様かな。 というわけで、六月末日までに出た新刊漫画(新連載作)で個人的におもしろかったな、早く続きが読みたいな、と思ったものを選びました。いつのまにか既に終わっ…

2018年上半期の新曲プレイリスト40曲

2018年上半期リリースでよく聴いてたやつ。映画主題歌に関しては日本公開時点で2018年であればOKという基準。カヴァーも。 基本的にはキャッチャーなポップが好きです。 鳴り止まない/集団行動 www.youtube.com 33才の夏休み/神聖かまってちゃん www.youtu…

2018年上半期の新作映画の思い出とベスト20作

対象作品数はだいたい90ちょっと。 頭がぼんやりするのでコメントは短く。 上半期ベスト20 1『ファントム・スレッド』(ポール・トーマス・アンダーソン監督、米) 2『リズと青い鳥』(山田尚子監督、日) 3『パディントン2』(ポール・キング監督、英…

まぼろしの糸による意図のまぼろし:『ファントム・スレッド』について

(Phantom Thread、ポール・トーマス・アンダーソン監督、2017年、米) (本記事はあらすじをほぼすべて割っています) 神へと捧げられた七つの編み込みのある、金髪と赤毛の重い髪の房が彼女の左手に握られているが、その髪にはそれまで一度もかみそりが当…

ウェス・アンダーソンにおける野生動物たち:『ファンタスティック Mr.FOX』(『犬ヶ島』について・その2)

proxia.hateblo.jp 前回書いた記事がその翌々日発売の『ユリイカ』のウェス・アンダーソン特集号に載っていた一部原稿とかぶり、しかも予告した野生の話も論者のみなさんが結構触れてられていたので、そりゃそうだよなあ、などと思いつつ、やる気は減衰し、…

なぜ『犬ヶ島』はつまらないのか。:『犬ヶ島』について・その1

野田洋次郎も参加!ウェス・アンダーソン最新作『犬ヶ島』日本オリジナル版予告 困ってしまってワンワンワワン、ワンワンワワン ――プロジェクトは犬ものをやろうという着想だったのですか? それとも最初からサムライ犬でやろうと? ウェス・アンダーソン:…

アメリカのピカレスクで多弁な娘たちの映画についてのメモ:『アイ、トーニャ』、『モリーズ・ゲーム』、『レイチェル:黒人と名乗った女性』

とりあえず、「この三作って似てるよね」という思いつきからはじまったものの、おもいついてから二週間経っても、あんまりうまく膨らみませんでした。後々のためのメモとしての残しておきます。 このところ、アメリカを騒がせたバッドアスな実在女性たちにつ…

尻のウサギが僕を呼んで:『ピーターラビット』の感想

(Peter Rabbit, ウィル・グラック監督、米、2018) (わりとネタバレを含みます) 映画『ピーターラビット』予告 野うさぎのふたつの身体 さあ、ご紹介しましょう。彼こそがピーターラビット。わたしたちの物語のヒーローです。 青いコートに身を包んだ若い…

二つの身体をもった心:『君の名前で僕を呼んで』について

もしだれかに、なぜ彼が好きだったのかと、しつこく聞かれても、「それは彼だったからだし、わたしだったから」と答える以外に、表現のしようがない気がしている。わたしの思惟を越えて、わたしが個別にいえることを越えて、そこには、なにかしら説明しがた…

アニメ作品の私選オールタイム・ベスト10

経緯と選定基準 『アニメ秘宝』発売をきっかけに、村長やななめちゃんさんに「おまえらのアニメベストを教えろ」と煽った結果、なんか自分も書かなきゃいけない空気になった。 私はアニメで育ったこどもではないのでアニメにはアニメを観るひとほど親しんで…

背中、背中を追うこと、そして孤独。:『リズと青い鳥』についての覚書その2

proxia.hateblo.jp 蹴りたくはない背中 真正面から抱き合う。なんと残酷な態勢なんだろうとおもいます。なぜなら、抱き合っている瞬間、ふたりの視線はすれ違わざるをえない。ハグは最高の愛情表現であると同時に、互いを最も遠くから見る(あるいは最も近い…

言葉の一致と感情の不一致について:『リズと青い鳥』についての覚書

(『リズと青い鳥』、山田尚子監督、2018年、日本。ネタバレを含みますが、そこまで詳細にはやらない) 山田:そうですね。物語は、ハッピーエンドがいいよ……。 ――劇場版パンフレットより 『リズと青い鳥』本予告 60秒ver. 『リズと青い鳥』を語ることの…

きみはどこで死ぬのか。:『minit』のレビュー

『Minit』は六十秒ごとに死ぬ『ゼルダの伝説』タイプのゲームだ。 Análisis Minit PC | MeriStation.com それは一般に「コチッ」「カチッ」だとか、「チックタック」だとかいう擬音であらわされる。 一六九〇年にジョン・フロイヤーが史上初めて時計の機構に…

困難さを物語ることについて:『Celeste』のレビュー

たったこの25メートルを攀るためだけに/これまでの20年間はあったのではないか こんなことはもう二度と/できないだろう もう何も/俺の中には残っていない 気力とか体力とか言葉で言いあらわせるもの/じゃなく 言いあらわせないものまですべて/この…

『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の短いレビュー

(Killing of a Sacred Deer、ヨルゴス・ランティモス監督、英&アイルランド、2017) 開胸手術が施されている最中の心臓のアップではじまる。脈打つ心臓は脂肪に包まれていて、存外に白い。手術を終えたふたりの医師が、病院内の廊下を画面奥から向かっ…

二月に読んでおもしろかった新刊マンガまとめ

これまでのあらすじ 完結情報(不完全版) 今月の十選 『あんたさぁ、』(ルネッサンス吉田、単発長編、ビッグコミックスペシャル) 『いざなうもの』(谷口ジロー、短編集、ビッグコミックスペシャル) 『ヴラド・ドラクラ』1巻(大窪晶与、ハルタコミック…

「『スリー・ビルボード』は本当にフラナリー・オコナーなの?」を考える。

『善人はなかなかいない』を読む人 フラナリー・オコナー全短篇〈上〉 (ちくま文庫)作者: フラナリーオコナー,Flannery O'Connor,横山貞子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/03/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (16件) …

一月の新作映画でおもしろかったやつ

『パディントン2』(ポール・キング監督、英)☆ 映画『パディントン2』予告篇 喋るクマ映画パート2.孤児が新しい家族に受け入れられるまでが1で、次いでご近所さんや友人といった共同体に受け入れられるまでが2。そういうストーリーを画で見せてくれる…

一月に出た新刊マンガでおもしろかったやつベスト10

年末にいちいち思い出してまとめるのは大変で、適宜、所感の記録をとっておいたほうがいいだろう、ということになった。 書き上げたあとで作者名は頭ではなく、カッコ内に配したほうがよかったな、とおもってちょっぴりおちこみました。 とりあえずタイトル…

続編でやる反復芸:『パディントン』から『パディントン2』へ

(Paddington 2, 英、ポール・キング監督, 2018年) 前回までのあらすじ 『パディントン2』サイコ〜〜〜〜ッ! proxia.hateblo.jp (『ズートピア』の反復についてはこちら) (*以下、映画『パディントン』および『パディントン2』の盛大なネタバレ…

なぜ犬でなくてはいけなかったのかーー犬映画としての『キングスマン:ゴールデン・サークル』感想

*(注意)この記事は『キングスマン:ゴールデン・サークル』の重大なネタバレを含みます* 姫は間もなくして自分の行為を悔やみました。そして絶望のあまり自らの生命を断ちました。深い愛情をこめた手紙をトリストラム*1にあててしたため、それと同時に、…

生きるのが最高になる2017年の単発完結(短編集、長編)漫画作品・私選ベスト20

これまでのあらすじ: わかんないよ! どうするのがよかったのかも どうしてこんな世界にふたりっきりなのかも… ……なにもわかんないけど…… 生きるのは最高だったよね…… (『少女終末旅行』第42話』) proxia.hateblo.jp 自分かマンガかのどちらかを救えな…

2017年の映画ベスト20選と+αと犬とドラマとアニメと

目次 proxia.hateblo.jp 年末のベスト作品選定はゆーすけさんのおっしゃるとおり「本当に自分がつまらない人間だと確認する作業」で、それなりに観たはずなのに好きなものを選んでみると自分でも他の誰でも良いような、節操と個性と信念と一貫性のないセレク…

人類が存続を保証すべき2017年の新作連載マンガ72選

神獣楽天庭国カドカワにて*1 あけましておめでとうございます、あたらしきマスター。 連載継続保障機関ヨムデアにようこそ。 あなたの着任を歓迎します。さて2017年、われわれは許されざる人道上の大罪を二つ犯しました。 ひとつは『ルポルタージュ』(作・…

ユーゴ紛争について触れずにクストリッツァを語ることは可能だろうか。:『オン・ザ・ミルキーロード』感想

(On the Milkyroad, エミール・クストリッツァ監督、セルビア、2017) *注意:オチまでネタを割っています。 男は厩舎で女と邂逅する。ぎこちなく、けれど自然に数語がやりとりされる。 男は言う。「僕の名はコスタ。きみは誰だ?」 女は返す。「昔は女の…

『おそ松さん』2期OP曲=『スター・ウォーズ:最後のジェダイ』説

前回までのあらすじ 引っ越しの準備で映画を観ている時間がない。 君子危うくも最後のジェダイ 「君氏危うくも近うよれ」を朝から晩まで聴いています。『おそ松さん』二期のオープニング・ソングです。この曲を十回、二十回、三百四十二回、千九十六回、とヘ…

ケネス・ブラナー版『オリエント急行殺人事件』について

『オリエント急行殺人事件』*1の映像化と呼ばれる作品は世界にだいたい五つくらいありまして、ここではシドニー・ルメット監督&アルバート・フィニー主演版(映画、1974年、以下「ルメット版」)、フィリップ・マーティン監督*2&デイヴィッド・スーシ…

新潮クレスト・ブックス全レビュー〈8〉:『ハイウェイとゴミ溜め』ジュノ・ディアス

『ハイウェイとゴミ溜め』(Drown、ジュノ・ディアス、江口研一・訳、1996→1998)ハイウェイとゴミ溜め 新潮クレストブックス作者: ジュノディアズ,Junot D´iaz,江口研一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1998/07/01メディア: 単行本購入: 2人 クリッ…

文学フリマで読んだ本。

11月の東京文学フリマで買っ(てきてもらっ)た本を読み終わったので、感想など。評論系がほとんどです。 東京大学お茶の会『月猫通り 2158号(特集:ショートアニメ)』 友人が寄稿していたので入手。 気がついたらなんとなく増殖してたショートアニメの…